カワイGM-12Gのタッチウエイトマネジメント

カワイ グランドピアノ GM-12G
1年ほど前に某所で購入なさったという
カワイのベビーグランド GM-12G 。
購入するときの試弾でも「鍵盤が少し重いな」と感じてはいたものの
「弾いているうちに変わってくるかなと」と思ってご購入。
その後もタッチは重いままで、6歳の娘さんもこのピアノを弾くので
タッチを軽くして欲しいという事で
タッチウエイトマネジメント作業をご依頼頂きました。

先日作業を終え納品させて頂いたところ
「軽い!」ととても喜んで頂けました。

アクションをお預かりする一ヶ月ほど前に
一度調律にお伺いさせて頂き状態を拝見させて頂きました。
お伺いして弾いてみた感じ
タッチはかなり「重い」です。
もともと重いタッチなのにくわえて
シャンクフレンジのトルクがかなり大きくなってそうです。
何故かセンターピンが棚板に落ちていたのですが
この理由はあとで判明します。

オリジナルのサンプル音で平衡等式を作成
まずはオリジナル状態でサンプル音の平衡等式を作成し現状を把握します。

BWはほとんどのキーで45gを超えていて弾くのが難しい重さ。
Fは16gから20.5gと高め。
FWは鍵盤鉛が少ないのでシーリング値以下。その分BWが重くなっています。
HSWは低音では指標8から指標9.5、中音から高音は指標10から指標11と高め。
SRは5.5から5.8で思ったほど高くはありませんでした。

オリジナルのHSWスマートチャート
オリジナルのHSWスマートチャート。
低音は指標8から指標10程度、
中音から高音は指標9から指標11くらい。
中音から高音にかけて重いので
バラツキを揃えつつ指標9程度まで下げると良さそうです。

平衡等式を利用したシミュレーション
C4(40Key)での平衡等式を使ってのシミュレーション。

HSWを0.6g削減してBWを48.5gから45.5gに。
パンチングの半カットでBWが45.5gから41.5gに。
ヒールへのシムは中央に挿入だけしておきSRはそのまま。
最期に鍵盤鉛調整を行いBWは38gになり、
FWはシーリング値マイナス3.1gとなって
問題なく弾けるピアノになりそうです。

FWと慣性モーメント計算表
一番外側に入っている大鉛を抜いて
距離#4に10mmの鉛、距離#2と距離#1に14mmを追加する
効率的作業を選択しました。

BWと慣性モーメントの想定値
結果はBWが22パーセント減、
換算慣性モーメントは10.4パーセント減という結果となり
弾きやすいピアノになりそうですね。

HSW調整後
HSW調整を行いました。
黒がオリジナル、赤が調整後です。
指標9を目標に隣り合うハンマーの重さが揃いました。

このピアノのヒールクロスには
実は既に別の調律師さんによって
シムが入れられているのですが...
ヒールシム

センターピンをシムとして使っていて
横にずれて飛び出してしまっています...
横にずれたヒールシム
ちょっと見辛いですが
シムとして入れたセンターピンが
キレイに左側に飛び出してしまってます。
アップライトのバットのセンターピンが
横に飛び出してしまっている事がありますが
あんな感じでズレちゃってるのです。
完全に抜け落ちて棚板に落ちているものもありました。
センターピンはヒールシムには向かないようですね...

ヒールシムの入れ直し
という事でズレないシムに入れ直しておきます。
パンチングのカットと違い
ヒールシムは前後に移動可能なので
後からSRの調整変更が可能です。

オリジナルの鍵盤鉛の配置
オリジナルの鍵盤鉛の配置。
低音から中音の途中までは基本的に同じ位置に入れられています。
外寄せなのと低音としては鉛数が少ないので
BWが大きく慣性モーメントも大きくなるので
とても重いタッチになってしまっています。
使用されている鍵盤鉛は大鉛1種類で
低価格帯のベビーグランドは
徹底的にコストダウンされ製造されています...

白鍵の鍵盤鉛

黒鍵の鍵盤鉛
新たな鍵盤鉛の配置になります。
外側の大鉛を抜いて
新たに内側に鍵盤鉛を入れる事で
慣性モーメントは小さくなりタッチが軽くなります。

ハンマー左右調整
事前整調は済ませてありますが
ピアノにアクションをセットして再度整調を行います。
このピアノは多くのハンマーが右に寄っていて
左の弦をきちんと叩いていない状態でしたので
事前にハンマーのファイリングを済ませておき
ハンマーの左右調整をやり直しました。

鍵盤あがき整調
SRを2段階下げていますので、ARも下がっています。
このピアノではあがきを10.5mmに設定しました。

ダンパー掛かり調整
ダンパーの掛かりが早いところがあるのと
掛かりのバラツキがありましたので
ダンパーの掛かりを調整しました。

ペダルの雑音
ダンパーペダルを踏む度にギシギシ言うのは
発生源を探すと1ヶ所はレール突き上げ丸棒で
もう1ヶ所はペダル突っかい棒を
ペダルボックスに固定するネジが緩んでいたのが原因。
増締めしたら鳴らなくなりました。

タッチウエイトマネジメント作業完了
整調を済ませ、もう一度調律をしてから
整音を行い作業完了です。
ベビーグランドながらよく鳴るピアノで
タッチも軽くなって、とても弾きやすいピアノになりました!

グランドピアノの重たいタッチ、標準的なタッチに調整します。
作業のご依頼、お問い合わせは
Eメール info@piano-tokyo.jp までお気軽にどうぞ。

渡辺ピアノ調律事務所
〒154-0016 東京都世田谷区弦巻1-20-14
E-mail  info@piano-tokyo.jp
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weblog  https://www.piano-tokyo.jp/blog/

ヤマハC5Aのタッチウエイトマネジメント

ウイペン
ヤマハC5A 430万番台 の「タッチウエイトマネジメント」を行いました。

ここ最近、タッチウエイトがBWではなく
慣性モーメントの影響のほうが大きい事を示す
分かりやすい2台を調律する機会がありました。

1台はボストンGP178。
顧客が鍵盤が重いという事を調律師さんに伝え
作業してもらったという結果がこれです。
貼付け式鍵盤鉛
「BWを小さくする = タッチを軽くする」という思考のもと
鍵盤底面の目一杯手前に貼付け式の鉛が追加されていました。
このピアノのBWを計ってみるとBW32g前後で
数字だけで言えばタッチはとても軽い筈ですが
弾いてみるととても軽いタッチとは言い難い状態。重い!
バランスピンから遠い位置に鍵盤鉛を追加した為に
慣性モーメントが大きくなりタッチが重くなってしまったのです。
これでは弾きにくいでしょうという事で顧客に説明の上
貼付け式のタッチ調整鉛を取り外したところ
BW39gに戻り、あきらかに弾きやすくなりました。

 

もう1台はアポロのグランドピアノで
対照的にBWは50g前後あって、数値だけなら重たいタッチの筈。
ですが実際に弾いてみると数値ほどの重さは感じません。
ウイペンアシストスプリング
その理由としてこのピアノには
ウイペンにアシストスプリングが付いていて
鍵盤鉛が低音セクションでも1個から2個
中音から上は鍵盤鉛が入っていないので
鍵盤由来の慣性モーメントが小さく
弾いてみた感覚はBWの数値ほどには重く感じないという訳です。

 

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さて今回タッチウエイトマネジメント作業の依頼があった
ヤマハC5Aですが、お客様曰く
「現在お世話になっている調律師さんに鍵盤が重い旨を伝えたところ
「そこまで重いですか?古いピアノだしねぇ」と曖昧な返答が...
「少しタッチを軽くしてみましょう」と調整はしてくれたそうですが
「軽くなった気がする」程度の変化と「タッチが硬くなった」感じになり
根本的な解決には至らなかったそうです。
主な使用者は小学生の子供さんで、
大人ほどの手の大きさやパワーがまだ無く
レッスンで使っているピアノはもう少しタッチが軽いとの事で
もう少し弾きやすいタッチでストレスなく
練習出来るように調整して欲しいとのご依頼です。

 

オリジナルサンプル音の平衡等式
オリジナル状態のサンプル音を使って平衡等式を作成します。
BWは高音で少し重い程度でとくに重くはないですが
白鍵よりも黒鍵が重いのが数値からも実際に弾いた感じからも感じとれます。
Fは若干高めのキーがあるものの一応許容範囲。
FWは低音でシーリング値を超えている鍵盤があり、中音、高音は問題なし。
SRは6.0から6.6で高めのキーもあります。
HSWは低音が指標8から指標9、
中音から高音は指標6.5から指標7で軽めです。

低音のHSWが若干重めなので、BWを下げるために鍵盤鉛が多くなり
結果としてFWがシーリング値を超えてしまっています。

C2(16key)を3要素関連表で確認してみると
SRが6.1でHSWが指標9ならば
BWは46gになるとあります。
しかし実際には、このピアノのC2のBWは35.5gなので
鍵盤鉛を多く入れてBWを下げているという事になります。
結果FWはシーリング値を超えてしまい
鍵盤を動かしにくくタッチの重い鍵盤になっています。

 

オリジナルのHSW
オリジナルのHSWスマートチャートを作成。
低音は指標8から指標9、中音から高音は指標6から指標7.5くらいで
低音と中音の境目では0.8gも差があって
これではタッチと音色が繋がりません。
低音を下げて全体を指標7に寄せていき
なめらかにつながるうように調整する事とします。

低音のHSWを下げ、FWをシーリング値マイナスにして
同時に鍵盤鉛を内側に寄せて入れ
慣性モーメントを下げ、軽く弾きやすくします。
BWは38gに設定。
白鍵と比べ黒鍵が重いので、黒鍵のSRを下げて
黒鍵を白鍵に重さまで軽くする方向で作業します。
Fが高い鍵盤はもう少し下げるよう調整します。

 

HSW調整後
HSW調整後(赤)。
指標7に寄せて隣り合うハンマーの重さを揃えました。
隣りのハンマーとの重さが揃うとタッチはもちろんですが
音色も揃ってきて納品時の整音がとても楽になります。

 

ウイペンヒールにシムを挿入
ヒールにシムを挿入します。
ウイペンは取り外さなくても作業出来ますが
外して作業しました。
その理由は

 

フレンジのトルクチェック
フレンジのトルクを確認して調整したいので。
ついでにヒールクロスの汚れを落としてPTFEパウダーを塗布。
サポートトップの黒鉛の塗られた部分を磨き直し
スプリングの接点も磨き直しておきます。

 

前後キーピン磨き
バランスキーピン、フロントキーピンを磨いて潤滑を済ませます。
ついでにベッデイングスクリューも磨いておきました。

 

バランスホールの清掃
バランスホールと前後ブッシングクロスの清掃をします。
潰れてしまっていたフロントブッシングクロスは
フェルトトリートメントを施工し一晩おいて復活させ
その後PTFEパウダーを擦り込んでおきます。

 

鍵盤鉛調整
中音セクションの鍵盤鉛調整。
一律に外側に入れてあった鉛がタッチを重くするので抜いて
新たにバランスピン側に14mm、12mmの鉛を追加しました。
使われる鍵盤鉛の数は多くなりますが
同じFWに設定する場合、鍵盤鉛を支点側に寄せたほうが
慣性モーメントはとても小さくなります。
※これについては書籍「タッチウエイトマネジメントの方法」の
70ページから71ページに説明がされています。

あらかじめ事前整調をしてお客様のところにアクションを納品します。

 

納品整調
事前整調は済ませてありますが
ピアノ本体にアクションをセットして再度
整調、整音して完成です。

 

お客様からは
「余計な力を入れずに弾けるようになった」
「速い音の繰り返しや装飾音符も弾きやすい」
「長時間弾いていても疲れない」
と仰って頂き、ひとまず安心。

 

頂き物
お客様からギフトを頂きました。
K様、ありがとうございます。

グランドピアノの重たいタッチ、標準的なタッチに調整します。
作業のご依頼、お問い合わせは
Eメール info@piano-tokyo.jp までお気軽にどうぞ。

 

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カワイKG-2E(平成3年)のタッチウエイトマネジメント

カワイ KG-2E ピアノ
平成3年納品のカワイKG-2Eの
「タッチウエイトマネジメント」作業を行いました。

ピアノの先生がご自身の教室でご使用のピアノで
先生ご自身も以前からタッチが重いなと感じていて
生徒さんからも鍵盤が重いと言われるそうです。
買い替えを検討なさった事もあるそうですが
そこは思い入れのあるピアノでもあるので
このピアノを調整で治して欲しいとの事です。
大丈夫、標準的なタッチのピアノになります!

 

中村式タッチウエイトマネジメントを利用して
調整を進めていきます。

オリジナルのサンプル音の平衡等式
オリジナルのサンプル音で平衡等式を作成します。
BWは45.5gから50.5gと全鍵で重すぎて弾けない数値。
Fは15.0gから22.5gで、これはスティックが疑われます。
FWは、このピアノは鉛が少なく、シーリング値を下回る鍵盤が多いです。
HSWは低音が指標7から7.5、中音から高音は指標10近辺。
SRは6.1から6.8と高め。

このピアノは元々タッチを重めに設定して造られているようで
妙に鍵盤鉛が少なく低音の鍵盤で鉛数が2個だったりします。
その内の1個は必ず事務的に外側に入れてあります。
そのためBWは大きく、慣性モーメントも大きくなって
とても鍵盤の重いピアノになっています。

調整の方向性としては
中音から高音にかけて重いHSWを指標9に下げて
高過ぎるSRを下げ、BWは38gを目標値に設定。
FWをシーリング値マイナスとなるようにしつつ
鍵盤鉛は内側に寄せて慣性モーメントを小さくする。
Fも大きいので標準値まで下げる。
そんな感じで進めていきます。

 

オリジナルのHSW
オリジナルのHSW。
カワイ特有で、低音は軽く(指標7から指標7.5)
中音から高音にかけては重め(指標10前後)。
低音はもう少し重くして、中音と高音は軽くし
指標9に寄せる事にします。

 

平衡等式を利用してのシミュレーション
C4(40key)での平衡等式を利用してのシミュレーション。
HSWを指標10から指標9へと下げ(0.4g減)
BWは47.5gから45.5gに。

パンチングの半カットでSRがo.4g下がるとすると
BWは45.5gから41.5gに。

さらにヒールへのシムの挿入でSRを0.4g下げ
BWは41.5gから37.5gに。

最期にBW基準の鍵盤鉛調整を行い
BWが38g、FWはシーリング値マイナス1.4gになって
支障なく演奏可能なピアノに仕上がりそうです。

 

HSW調整後
HSW調整後(赤)。
ばらつきのあったHSWが綺麗に繋がりました。
タッチが揃うと同時に音色も揃いやすくなります。

 

FWと慣性モーメントの事前シミュ
いちばん外側の大鉛は抜き出して
新たに140mmの位置に12mmの鉛を追加する
C 効率的作業を選択。

 

BWと慣性モーメント
最終的にBWが20パーセント減、
慣性モーメントは8.4パーセント下がる結果となり
これなら以前の状態よりもかなり弾きやすくなりそうです。

 

キーピン磨き
今回はBW基準で鍵盤鉛調整を行いますが
事前にFの処理をしておく事が重要です。
前後キーピンを綺麗に磨きなおしておきます。
写真は割愛しますが、その他に
・フレンジのセンターピン交換
・シャンクのローラーの清掃と潤滑
・ヒールクロスの清掃と潤滑
・前後キーブッシングクロスの清掃と潤滑
・バランスホールの清掃
・キーピンの潤滑
などを済ませてあります。

このピアノは納品から30年ほど経ち
ピアノ教室のピアノという事もあって
鍵盤のブッシングクロスが潰れて
左右にガタが出ていたので
フェルトトリートメントを塗布して一晩おいてみたら
クロスがかなり膨らみ左右のガタが解消しました。
クロスがすり減ってなかったのが良かった。

 

慣性モーメントを加味した鍵盤鉛調整
これは中音の鍵盤で、
外側に入っていた鍵盤鉛は抜き出して
新たに奥側に鉛を入れてあります。
使われる鉛の数は変わりませんが、鍵盤鉛を支点側に入れる事で
慣性モーメントが小さくなり、タッチが軽くなります。

 

 

Kawai KG-2E piano
アクションをオーナーの元へお届けして
整調、整音を行います。
整音に取り掛かろうとしましたが調律がかなり狂っていて
このままでは整音作業が出来ないので
手早に調律を済ませてから整音作業を行いました。

作業が全て終わり、さっそく先生に試弾してもらったところ
「違うもんですね!」とにっこり。

これまではエアコンのみで除湿していたそうですが
大分スティックが見受けられる状態でした。
今後は除湿器を導入するそうなので
スティックの心配はなさそうです。

 

渡辺ピアノ調律事務所
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カワイCA-40Aのタッチウエイトマネジメント(FW基準)

カワイCA-40Aのタッチウエイトマネジメント作業
年2回から3回の頻度で調律にお伺いしているO様宅。
これまではアップライトピアノ(ヤマハU3H)のみでしたが
新たにカワイのグランドピアノ CA-40A が仲間入り。
ですがコレがかなりタッチが重いので
アクションをお預かりして
タッチウエイトマネジメント作業を行いました。

 

オリジナルの平衡等式
オリジナルのサンプルキー平衡等式。
BWは42gから46gとかなり重め。
FWは全てシーリング値を超えています。
Fは17gから20.5gでかなり大きめ。
HSWは低音は指標7と軽め。中音が指標9.5と重くなり、高音が指標8.5。
SRは6.3から7.0と高めです。
2g重りでのSRは、低音7、中音6.75、高音6.75。
6mm治具によるARは低音が6.5、中音が5.83、高音が5.5でした。

C4(40key)を三要素関連表で確認してみます。
HSWが指標9でSRが6.6ならばBWは51gになるとあります。
しかし実際のC4のBWは43.5gなので
鍵盤鉛を多く入れているか、手前に寄せて入れる事で
BWを43.5gにしているという事になります。
結果としてFWはシーリング値を5.7g超えてしまってます...

作業の方向性としては
HSWは中音を下げつつ全体を均す。
SRを2段階下げる
BWをもう少し下げる。
FWをシーリング値マイナスにする。
慣性モーメントを出来る限り小さくする。
以上を目安として進めていきます。

 

オリジナルのHSW
オリジナルのHSWスマートチャート。
低音が極端に軽く、中音でグッと重くなり
次高音から最高音にかけて少し下がるというのが
カワイのピアノによく見られる傾向のようです。

 

オリジナルの鍵盤鉛
カワイCA-40Aオリジナルの鍵盤鉛の配置。
上から2本ずつ低音、中音、高音です。
鉛一個分の余裕も確保せずに
外側に寄せて鍵盤鉛を入れて
BWを下げようとしている事が垣間見れます。
結果として鍵盤そのものが動きにくい状態となって
タッチが重く反応の悪い鍵盤になっています。

 

 

C4でのシミュレーション
C4の平衡等式を利用してのシミュレーション。
HSWを0.2g下げ、BWが1g軽くなり43.5gから42.5gに。
パンチングの半カットでBWは38.5gに。
ヒールへのシム挿入でBWはさらに下がって34.5gに。
最後に下がり過ぎたBWを40.3gに戻すと
FWはシーリング値マイナス0.1gとなり
普通に弾けるピアノに出来そうです。

 

FW比較計算と慣性モーメント
一番外側に入っている鍵盤鉛を抜いて
新たに102mmの位置に14mmの鉛を入れる
効率的作業を選択します。

 

 

オリジナルとの比較

最終的にBWは7パーセント減、
慣性モーメントは7.9パーセント減という結果になりました。

 

 

HSW調整後
HSW調整後。
赤が調整後。黒がオリジナルです。
隣り合うハンマー、そして全体が
なめらかに揃うことでタッチのばらつきが解消されます。

 

FW調整
FW調整。
青がオリジナルで、ほぼ全域でシーリング値を超えていて
且つ隣り同士の鍵盤でバラツキが大きい事が分かります。
黒はシーリング値。
赤が調整後です。
事前のシミュレーションから
低音がシーリング値マイナス0.7g。
中音がマイナス0.1g、高音がマイナス3gとなるよう調整してあります。

 

ヒールへのシム挿入
HSWを一定に調整し、FWも一定に調整したら
BWのバラツキを揃えるのに
ヒールのシムの位置で最終調整します。
BWも出来るだけ揃えて、SRにしわ寄せが出るようにする方向性です。
シム入れによる効果の大きいピアノでしたので
15本くらいはシムが必要なくなり抜きました。

 

キーピン磨き
一目瞭然で説明不要かもしれませんが
左側が磨いたあとのバランスキーピンで
右側がオリジナルの状態(磨く前)です。
磨く前のキーピンは触るとベトベトしていました。
磨いたあとは表面がツルツルになり、触った感じもスッキリします。

 

バランスホールの清掃
キーピン磨きとセットで行いたいのが
バランスホールの清掃とブッシングクロスの清掃です。
バランスホールをブラシで掃除したあと
細綿棒にベンジンをつけてホール内を清掃します。
磨かれたキーピンに清掃後の鍵盤をセットする時
その効果がはっきりと体感できます。

Fが20g近くあるピアノなので
フレンジのスティックも確認しましたが
シャンクフレンジとウイペンフレンジのトルクが
大きいのでセンターを交換してトルク調整しておきました。
ローラーのファイリングをしてPTFEパウダーを施工。
ヒールクロスの汚れを落としてからPTFEパウダーを施工。
Fは最終的に20gから11g程度まで下がりました。

 

ホワイトパンチングフェルト
音の立ち上がりの遅いピアノだなぁと思ってましたが
お客様も同じ事を感じていたようなので
フロントパンチングクロスを
ホワイトパンチングフェルトに交換しました。

 

 

グランドピアノの整調
アクションのお預かり作業が仕上ったら
お客様宅に納品して整調作業を行います。
事前整調はしてありますが
ピアノにセットして再度整調を繰り返し行います。
椅子が2つあると助かります。

 

コーヒー
コーヒーありがとうございます。

 

ダンパー掛かり調整

ダンパー掛かり調整2
やけにダンパーの掛かりが早い状態でしたので
ダンパーの掛かり調整を行います。
総上げ、総下げも不揃いなので調整しました。

 

タッチウエイトマネジメント完成
BW40g、慣性モーメント7.9パーセント減で
無事に弾きやすいピアノに仕上りました。
今回はFW基準で作業を進めていきましたので
弾いた感じ、タッチのバラツキは皆無です。

2週間後に調律にお伺いさせて頂き
整音作業を行う予定です。

 

ピアノの除湿器
カワイのグランドピアノを迎えるにあたって
除湿器が導入なさってます。
「三菱電気の MJ-P180PX 」という機種で
湿度の設定が出来るので
ピアノの湿度管理に好都合でオススメです。

こちらのお宅にもう1台あるアップライトピアノには
ダンプチェイサー部分的システムが付けてあります。
除湿器の導入でさらに安定した状態をキープ出来ますね。

 

鍵盤の重たいグランドピアノ、標準的なタッチに調整します。
作業のご依頼、お問い合わせは
Eメール info@piano-tokyo.jp までお気軽にどうぞ。

 

渡辺ピアノ調律事務所
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ディアパソンDR-300のタッチウエイトマネジメント

DIAPASON DR-300
DIAPASON DR-300の
タッチウエイトマネジメント』作業を行いました。

Eメールでお問い合わせ頂きました。
6年ほど前に新品でお求めになったピアノの
タッチが重い(鍵盤が重い)ので
タッチウエイトを軽くして欲しいとのご依頼です。

 

これまで年配の調律師さんが来てくれていて
タッチが重い旨を伝え、調整してもらっていたそうですが
対処療法といった処置はしてもらえるのですが
物理的に軽くはしてもらえないので
タッチウエイトマネジメントを施工して欲しいとのことです。

 

アクションを引取にお伺いした際に
ざっと弾いた感じでは
カワイ系特有の重さを感じるのと
フリクションが大きい時に感じる重さと
弾き難さを指先に感じます。
しばらくの間アクションをお預かりして
中村式タッチウエイトマネジメントで
標準的なタッチウエイトに調整します。

 

鍵盤下の埃
アクションを外し、鍵盤を外すと
筬には6年分の埃が溜まっていました。
多くの場合こういった状態のピアノは
アクションを外した事が無い場合が多く
このピアノも鍵盤調整がされておらず
鍵盤のバランスホールはかなりキツイ状態となっていて
キャプスタンも磨かれていません。
整調は、ジャックが手前に寄せてあり
ジャック高さは低くしてあります。
レットオフはo.5mmから1.5mmとかなり狭くしてあって
ドロップはゼロになっています。
レペティションスプリングは
まったく効いてないところもあってバラバラ。
どうにか軽く感じるようにしようと
頑張った跡が見受けられます...

 

オリジナルの平衡等式
オリジナル状態の平衡等式を作成します。
BWは40gから最大48gと重め。
FWは全鍵でシーリング値を超えています。
HSWは低音は指標8から指標9でまずまずですが
中音と高音は指標9.5から指標10.5と重め。
SRは6.1から最大6.8で高めです。

 

オリジナルのHSWスマートチャート
オリジナルのHSWを作成します。
低音はそこそこですが
中音から高音では指標10、指標11と重めの傾向です。
全体を指標9に寄せていき、なめらかに揃える方向性で検討します。

 

C4の平衡等式でのシミュレーション
c4(40key)での平衡等式を利用したシミュレーションです。
事前に調べたHSWスマートチャートから
HSWは指標9で揃えることを検討していますので
HSWを11.1gから10.5gに減量したとして、
BWは43.5gから39.5gになります。

バランスパンチングクロスの半カットで
SRが0.4下がると仮定し、
BWは39.5gから35.5gに下がります。

さらにもう一段階SRを下げる為に
ウイペンヒールにシムを挿入して
BWは35.5gから31.5まで下がりました。

最後にBW基準の鍵盤鉛調整を行いBWは38gに、
FWはシーリング値0.5gとなって
なんとか弾きやすいタッチのピアノに出来そうです。

 

鍵盤テンプレート
平衡等式に慣性モーメントを連動させてシミュレーションするために
『鍵盤テンプレート』を作成します。

 

FW比較計算表
『鍵盤テンプレート』の数値を表計算ファイルに落とし込んで
FWが目標FWとなり、慣性モーメントが小さくなる
鍵盤鉛の配置をシミュレーションします。
メーカーが事務的に外側に入れた大鉛を抜いて
新たにバランスから96mmの位置に14mmの鉛を入れると
慣性モーメントをかなり下げる事が出来そうです。
CoGは0.452になりました。

 

オリジナルと想定値の比較表
ギアレシオの項目を入力して
最終的にBWが13パーセント減、
慣性モーメントは10.7パーセント下げることが出来ました。

 

 

HSW調整後
HSW調整後のスマートチャートです。
黒がオリジナルで赤が調整後になります。
概ね指標9でなめらかに揃える事が出来ました。
中音から高音にかけては、0,5gから0.7gくらい
減量していますので、慣性モーメントが
小さくなることが出来ます。
同時にタッチが揃って感じるようになります。

 

ウイペンヒールにシムを挿入
ウイペンヒールにシムを挿入しSRを下げます。
最近のトレンドはロックタイのようで、
私も今回は2.5mm幅のロックタイを使いました。

 

ウイペンのセンターピン交換
カワイ系のウイペンフレンジはプラ製なので
この部分のスティックを必ずチェックして
トルクが大きいフレンジはセンターピン交換をしておきます。
今回はいくつかのレバーフレンジもスティックを起こしていたので
こちらもセンターピン交換をしておきます。
サポートのトップは良く磨き
スプリングとの接点は黒鉛が多すぎて
ドロドロになっていたので拭き取り
スプリングの頭を軽く磨いておきました。
ヒールクロスには汚れが付着していたので
ベンジンで清掃しておきます。

 

ローラーナックルの黒鉛
ローラーのスキンには黒鉛がたっぷり付いています。
スキンに付いた黒鉛はフリクションを大きくしてしまい
この黒鉛を落とすだけでフリクションが小さくなり
数グラムBWが軽くなる場合があるので
しっかり黒鉛を落としておきたい部分です。

 

 

ローラーの黒鉛を落とす
ローラースキンの黒鉛を落としました。
この後PTFEパウダーをフデを使って塗布します。
納品から6年ほどのピアノなので
ローラーの変形はさほどありませんでした。

 

鍵盤周りの掃除
鍵盤周りにもタッチに影響する部分がたくさんあります。
バランスホールをブラシで掃除したあと
ベンジンを付けた細綿棒で清掃すると
黒い汚れが取れホール内が綺麗になり
バランスホールの動きがかなり良くなります。
前後キーピンも同様にベンジンで清掃すると
ウエスが真っ黒になるくらい汚れていました。
鍵盤の前後ブッシングクロスも汚れていますから同様に清掃し
私の場合はPTFEパウダーをクロスに擦り込んでいます。
清掃や潤滑は各人の考えや、やり方があると思いますので
各々が良いと思う方法でフリクション処理をすると宜しいかと思います。

 

ホワイトパンチングフェルト
特にこちらからお客様にご案内はしておりませんでしたが
勉強熱心なお客様で、フロントパンチングクロスを
ホワイトパンチングフェルトに交換して欲しいとの要望がありましたので
フロントパンチングクロスを
Wurzen ホワイトパンチングフェルト・コニカルに交換しました。
これに交換すると音の立ち上がりが早くなるようで
隠れた人気パーツです。

 

外側の鍵盤鉛を抜く
BW基準の鍵盤鉛調整の前に
事前にメーカーが一律に外側に入れた
鍵盤鉛を抜いておきます。

 

BW基準の鍵盤鉛調整
中音44keyのBW基準の鍵盤鉛調整後の配置です。
支点から遠くに配置されていた鍵盤鉛が無くなる事で
慣性モーメントが小さくなり、鍵盤が動きやすい状態となり
タッチは軽快に感じられるようになります。
新たに支点側に14mmと12mmの鉛を入れました。

 

diapason_dr300_12
総1本張りで澄んだ音色を奏でるピアノです。
タッチウエイトも標準的な重さになって
とても弾きやすいピアノになりました。

 

鍵盤の重たいグランドピアノ、標準的なタッチに調整します。
作業のご依頼、お問い合わせは
Eメール info@piano-tokyo.jp までお気軽にどうぞ。

 

渡辺ピアノ調律事務所
〒154-0016 東京都世田谷区弦巻1-20-14
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