グランフィールの取付け(シュベスター Mod No.54)

グランフィール機能付きシュベスター

 

シュベスター Mod No.54 SN : 5553XX にグランフィールを取付けました。

グランフィールはお手持ちのアップライトピアノにグランフィールパーツを取付けることで
アップライトピアノでありながら「グランドピアノのタッチと響きを実現します。

 

スティック修理
すぐにグランフィールパーツの取付けに取り掛かりたいところですが
このシュベスターは、梅雨、夏、秋の長雨と湿気にさらされた為
ほとんどのフレンジがガチガチにスティックを起こしており
Fが増えてDWは70gかそれ以上と非常に重くなっています。
先ず全てのセンターピンを交換するところから作業しました。
また以前このピアノを作業した技術者は潤滑に黒鉛を使うのが好きだったようで
ヒールクロス、レバークロス、鍵盤の前後ブッシングクロスには
黒鉛がたっぷりと塗布されています。
どのような潤滑剤も技術者の好みで施工して構わないと思います。
個人的に黒鉛は最初は潤滑の機能を良くはたしてくれますが
時間の経過とともに粘りが出てくるのが気になります。
各所に塗布された黒鉛はベンジンで軽く拭き取る事で
さらっとした状態になるように処理しました。

また打弦距離が49mmと広く、あがきが9.5mmなので「働き」が出ずに
レットオフをかなり広くしてありました。
これを打弦距離46mmに、あがきを10mmにして
レットオフを低音側から3mm、2.5mm。2mmに修正します。

 

 

バット加工
ハンマーのバット加工を行います。
アップライトピアノ特有の「カラを感じるタッチ」を解消し
グランドピアノのようなダイレクト感のあるタッチとし
ジャックの抜けと戻りにも影響するグランフィール必須の作業です。

 

レペティションスプリングの取付け
レペティションスプリングが追加されました。
この他にドロップスプリングもハンマー側に追加されています。
グランドピアノには装備されていてアップライトピアノには無い部品を追加することで
アップライトピアノにグランドの機能が追加されます。

フレンジのスティック修理をした事で
DWは70gから55gまで軽くなり
表現力豊かなシュベスターに生まれ変わりました。

 

「グランフィール」については
以下のページに詳細を掲載しております↓
http://www.piano-tokyo.jp/granfeel.html

 

渡辺ピアノ調律事務所
〒154-0016 東京都世田谷区弦巻1-20-14
E-mail  info@piano-tokyo.jp
url  http://www.piano-tokyo.jp/
weblog  https://www.piano-tokyo.jp/blog/

グランフィールの取付け(アポロUG122DX)

APOLLO 東洋ピアノ
アポロUG122DXにグランフィールを取付け。

いつも定期調律でお伺いしているお客様のピアノで
東洋ピアノでは、時々見かけますが
アップウエイトが不足ぎみで、鍵盤の戻りの反応が悪く
結果バランスウエイトはさほど大きくないのに
弾いていて重く感じるという状態がありますが、このピアノでも見られました。

お客様から「鍵盤が重く感じて弾きにくいので調整出来るなら少し軽くして欲しい」
との要望があり、グランフィール取付け前に
一度調整にお伺いして、タッチの調整を済ませてあります。
バランスウエイトは維持しつつ
アップウエイトを3gほど大きくしました。
果たして弾きやすいと感じて頂けるか心配でしたが
この作業のあと、お客様からメールを頂き
「指に吸い付くようになり弾きやすいです」との事で一安心。

 

タッチの調整を事前に済ませ
グランフィールパーツを取付けました。
グランフィールの取付け
タッチが重くならないようなセッティングを心がけ、
且つしっかりグランドピアノと同様のタッチ感が得られるように
取付けと調整を行いました。

 

グランフィールの納品と調整
そして本日お預かりしてグランフィールパーツを取付けたアクションの
納品と調整を行いました。
事前のタッチ調整と
グランフィールパーツの取付け時の工夫が功を奏したようで
頭の中で描いていたよりも、大分良い感じのタッチに仕上りました。
後はこのピアノをメインで弾いている子供さんにしばらく弾いてもらって
再度調整の必要があれば、好みに合うようセッティングを詰めていく予定です。

 

 

「グランフィール」
http://www.piano-tokyo.jp/granfeel.html

 

 

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グランフィールの取付け(ヤマハUX10Bl)

Granfeel
ヤマハのアップライトピアノ、UX10Blに
「グランフィール」を取付け。

 

小学生のお嬢さんも徐々にピアノが上達してきて
アップライトアクションの性能では
上手く連打やトリルが弾けなくなってきたようで
グランフィールを取付ける事に。

以前よりは世に知られるようになったグランフィールですが
まだご存知ない方の為におさらいを。
「グランフィール」はお手持ちのアップライトピアノで
グランドピアノ同等の連打、トリルの性能を実現し
響きまでグランドピアノに近づく技術です。
細かい事を言うともっと色々あるのですが
ざっくり言えばそんな感じ。
既にアップライトピアノをお使いであれば
グランドピアノに買い換える事なく
アップライトピアノの性能を格段に向上させる事が可能です。

 

グランフィールを取付ける為にアクションをお預かりしてきましたが
若干の問題が...

 

ダンパーストップレール
このUX10Bl、ダンパーストップレールが
次高音の途中(ダンパーの切れ目)までしかありません。
一般的なアップライトピアノの場合は
最低音から最高音までをカバーするような
長いダンパーストップレールが取り付いています。
(要するに両端のブラケット間で取り付いています)
昨今はコストダウンのためかダンパーストップレールが
途中までしか伸びていないピアノも珍しくないですが
この時代(製番4581XXX)のヤマハでも
こういう事があるようで、注意が必要です。

 

グランフィールパーツの一部は
このダンパーストップレールを利用して取付けますので
高音部分まで伸びていないと上手くありません。

 

ダンパーストップレール2
もっともこのピアノの場合は心配ありません。
ヤマハから標準長のダンパーストップレールを取り寄せ。
上(猫側)が一般的な長さのダンパーストップレール。
下がこのピアノに元々付いていた短いダンパーストップレール。
高音ブラケットには、ストップレールをとめる為の穴こそあいていますが
ネジが切ってないので、M5でタップを切り
無事、最高音までカバーするストップレールが取付け出来ました。

 

グランフィールの取付けを希望される方の中で
最近ご要望の多いオプション作業が
「バックストップ方式」を「グランド仕様」にするというもの。

アップライトのバックチェック
上の写真で緑色のクロスが付いた部品が
一般的なアップライトピアノのバックチェック。
ハンマーアッセンブリーのキャッチャーという
スキンの貼ってある部品を
この緑色の部分でキャッチする訳です。
(弦を叩いたあと戻ってきたハンマーアッセンブリーを緑色の部分で受け止める)

 

グランド仕様のバックチェック
グランドピアノ仕様のバックチェックに交換していきます。
グランドピアノでは緑色のクロスではなく
上のようにバックチェックはスキンとなっています。

 

アップライトのバックチェック
そしてこちらはアップライトのキャッチャー。
この鹿革の貼られた部分を、先ほどの緑色のバックチェックが受け止めるのが
一般的なアップライトのバックストップ。

 

それを

 

キャッチャーへのスカッチ入れ
鹿革を剥がし、ベルトサンダーでキャッチャーを
GPハンマーテールのアールに成形し
横溝(スカッチ)を入れます。
グランドピアノのバックチェックが咥えるのは
スカッチの入ったハンマーテール部分です。
アップライトでは、キャッチャーがGPハンマーテールに相当しますので
このようにキャッチャーをGPハンマーテールと同じ様に加工し
バックチェックもグランド仕様に交換する事で
グランドピアノと同じバックストップ方式を実現します。
実際の効果ですが、アップライトのもっさりしたタッチ感が減り
スッキリしたタッチ感を得られます。

 

その他、ダンパーレバーとスプリングの接点での雑音対策や
下針を入れてハンマーファイリング、
金属パーツの磨き直しや各部潤滑、清掃をしています。
もちろんハンマーバット加工も行っています。
(グランドピアノのタッチを実現するのにとても重要な加工です)

 

アクションを納品して、調整を済ませたら
見た目はアップライトなのに
タッチと響きはグランドピアノという
グランフィールピアノの完成です。

 

お客様に試弾して頂いたり、音を聴いてもらい
響きとタッチがグランドピアノになっている事を
確認してもらって作業完了です。
とても満足頂けたようでした。
「低音セクションの響きが良くなった」と仰ってて
確か以前もそんな感想を、
別のピアノにグランフィールを取付けた時にももらったような。
これはグランフィールのパーツの働きにより
(ショット&ドロップスプリングといいます)
普通のアップライトピアノでは出す事の出来ない高次倍音が
豊富に出るようになった事によるもので
グランドピアノの音を聴いたときに
アップライトピアノにはない華やかさを感じる理由の一つはここにあります。

 

アップライトピアノの性能に限界を感じてきた方々、
グランフィールの取付けを検討してみては如何でしょうか。

 

「グランフィール」については
以下のページに詳細を掲載しております↓
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グランフィールの取付け(ペトロフ P 131)

PETROF P 131
ペトロフ P 131グランフィールを取付け。

高さ120cmクラスのペトロフはわりと見かけますが
このピアノは130cmクラスの「ハイエスト・シリーズ」で
コンサート用アップライトに位置づけられるモデルです。
国産小型グランドに負けない音色を奏でます。

鍵盤の弾き心地もグランドピアノのような
奥行きの長いピアノを弾いているような感覚を得られます。
その理由は...

鍵盤鉛
バランスピンの前後に鍵盤鉛を配置することで
慣性モーメントを大きくし
奥行きの長い大きなピアノを弾いているようなタッチにしてあります。
BWは42g程度で、このクラスのピアノでは普通の値ですが
数値以上にどっしりとした弾き心地となっています。

レペティションスプリング
アクションはペトロフレンナーではなくフルレンナーです。
レペティションスプリングやドロップスプリングを取付け
ハンマーバット加工等を行い
グランフィールピアノとなるよう仕上げます。

納品調整後、お客様に感想をお伺いしたところ
「低音の響きが良くなった」とのこと。
ドロップスプリングが搭載されたことで
高次倍音が豊富に出るようになりましたので
華のある音の響きになっています。

グランフィールを取付ける前は
グランドのような弾き応えのある鍵盤だけど
何かが足りない印象のタッチでしたが
レペティションスプリングが取り付いたことで
上手く不足分が補え、反応の良い鍵盤となり
非常にコントロールしやすいタッチのピアノに生まれ変わりました。

 

「グランフィール」については
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グランフィールのオプションパーツとして

既に後付けの「グランフィール」を導入している方や
グランフィールの取付けを検討中の方々に
より一層グランドに近いタッチと響きを得るためのパーツをご紹介します。

 
普通のアップライトピアノにグランフィールを後付けした場合
レペティションスプリングやドロップスプリングは新たに追加され
バットの形状も理想的な形に加工されますが
それだけではグランドピアノと違う部分が残ってしまいます。
グランドピアノと違う部分を出来る限り同じ仕様にすることで
限りなくグランドピアノに近いタッチと響きが得られるようになります。

 

ハンマーのスカッチ
グランドピアノとグランフィールピアノ(後付けでは無いほう)の
バックストップ方式は、スカッチ(溝)の入った木部を
グランドピアノのバックチェック
スキンの貼られたバックチェックで咥える仕様になってます。
グランドピアノならばハンマーのテールにスカッチが
グランフィールピアノならばキャッチャーにスカッチが入ってます。
(写真 : グランドのバックチェックとテール)

 
アップライトのバックストップ
一方アップライトピアノのバックストップは
スキンの貼られたキャチャーを
クロスの貼られたバックチェックで咥えます。

 
単にグランフィールパーツを後付けしたアップライトピアノは
バックストップ方式がアップライト仕様のまま
グランドのタッチを再現することになってしまいます。
もちろんアップライト仕様のバックストップ方式でも
グランフィールは動作しますが
より理想的なタッチを得るには
グランドピアノと同じバックストップ方式にする必要があるのです。

 
グランドピアノ仕様のバックストップ方式
キャッチャースキンは剥がして、キャッチャーにスカッチを入れ
バックチェックはグランド仕様のバックチェックに交換してやると
グランドピアノと同じバックストップ方式を実現可能です。
(或は既存のバックチェックにスキンを貼るといった方法もアリです)
これによりスッキリとした、めりはりのあるタッチが得られるようになります。

 
もうひとつアップライトとグランドで違うところが残っています。
鍵盤手前側底部で下りてきた鍵盤を受け止めている
「フロントパンチングクロス」です。
アップライトのフロントパンチングクロス
一般的なアップライトピアノのフロントパンチングには
柔らかく小ぶりのものが使われています。
一方グランドピアノのフロントパンチングクロスは
硬めでサイズもひとまわり大きめのものです。
故に理想的なグランドのタッチを実現したい場合
フロントパンチングクロスをアップライト仕様のものから
グランド仕様のものに交換しておきたいのです。

 
ホワイトパンチングフェルト
交換するにあたっては
最近は特にその効果が得られやすい
「ホワイトパンチングフェルト(コニカル)GP用」をオススメしています。
音の立ち上がりが速くなり、芯のある響きになってタッチもよくなります。

 
「グランドピアノ仕様のバックストップ方式」、
「ホワイトパンチングフェルト」、
グランフィールのタッチと響きを
より一層グランドピアノに近づけたい方々にオススメです。

 

「グランフィール」については
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