クニユキピアノの修理、調整

クニユキピアノアクション
スティック修理やその他の部分の為に
クニユキピアノのアクションをお預かりして
センターピンなどを交換しました。

「スティック」というのは
アクションに300ヶ所近くある可動部、
人間で言う「関節」にあたる部分の
動きが悪く、正常に動作出来ない状態を言います。
アクションの他に鍵盤側でもスティックが起こります。

以前から修理をお勧めしてはいたのですが
スティック状態のまま騙し騙しお使いでした。
ここに来て、症状も酷くなりまともに弾く事が難しい状態となってきて
お客様も観念したのか、ようやく修理する運びとなりました。

長年、極端な湿気(梅雨から夏季)と乾燥(秋冬)を繰り返し
フレンジは重度のスティックでギリギリ動くか動かない状態。
各部の接着は剥がれ、金属部品の劣化などがあって
調律に伺う度に数カ所の修理を応急的に処置するのが
何年も続いていました。

バットフレンジのセンターピン交換
バットフレンジのセンターピンを全て交換。ガチガチです。
フレンジ専用のトルクゲージを使い、最適なトルクにして
88ヶ所を均一なトルクに調整します。
バットフレンジのトルクは、タッチ感にダイレクトに影響してきますので
慎重に調整します。

劣化したバットスプリング
ハンマーアッセンブリーではもう1ヶ所問題が。
バットスプリングが劣化して
写真のように垂れ下がり機能していません。
これまでも調律にお伺いする度に1本、2本折れていました。

折れたバットスプリング
軽く触ると折れてしまいます。

バットスプリングの交換
バットスプリングを88本全て交換しました。

ウィペンのセンターピン交換
ウィペンアッセンブリー(ジャック、ウィペン)のセンターピンと
ダンパーフレンジのセンターピンも全て交換し
適正トルクに調整します。
このピアノの場合、交換前に正常な動きをしているフレンジは
1ヶ所くらいしかありませんでした。
ジャックの頭の奥側は、いい感じに面取りされていました。
バットスキンの質もそんなに悪くないので
センターピンを交換すれば、ジャックはスムーズに戻る筈です。
ご予算のある方は、バット加工(グランフィールでお馴染みの作業)をすると
より素早くジャックが戻るようになります。
グランフィールを取付けなくても
バット加工だけでも一定の効果が期待出来ます。

オリジナルのセンターピン番手は

  • バット #0 1/2
  • ジャック #20
  • ウィペン #20 1/2
  • ダンパー #20 1/2

でした。

ウィペンヒールの剥がれ
ウィペンでは、もう1ヶ所問題があって
ウィペンヒールの接着が切れて
これも毎回の調律に伺った際に
2ヶ所くらいポロッととれていたので
全て外して再接着しておきます。
軽く触れると簡単に取れてしまう状態でした。

ダンパーロッド
ダンパーロッドも汚れが堆積しザラザラになっていました。
このままの状態で使い続けると
ダンパーレバークロスが削られてすり減ってしまうのと
雑音の原因になります。

ダンパーロッドの磨き直し
磨き直し、元の位置にセット。

拍子木
拍子木も接着が切れてバラバラに。再接着します。

その他、
ハンマーは中音セクションに針入れ、
低音セクションと高音セクションにクリアトーン施工、
シューシャインにてファイリング。

センターピン交換後に潤滑剤塗布。
バットとそれ以外のセンターピンで潤滑剤を使い分けるようにしています。

ダンパースプーンの磨き直しと潤滑。

ダンパーレバースプリングの潤滑。

ジャック奥側の角を潤滑。

キーピンの錆
低音側に集中していたのは
バランスキーピンの錆。

バランスキーピンの交換
特に錆の酷いバランスキーピンは交換して
残りは磨き直しました。そのあと潤滑処理。
バランスキーピンと鍵盤側バランスホールの状態が悪いと
良いタッチが得られません。

アクションをセット

クニユキピアノロゴ
アクションをセットし調整を終え仕上がりました。

これまでが酷いスティック状態でしたので
フレンジがスムーズに動く様になって
タッチは軽快に、鳴りも良くなっています。
まったく効いていなかったバットスプリングの抵抗を
指先に感じる事が出来ます。

しかし
出来るだけ丁寧に修理、調整していますが
今回は思っているほどには良い状態になってくれません。
音にもタッチにも腰がありません。
原因は
コルグ消音ユニット
後付けの消音ユニット...
消音バー(ストッパー)が邪魔をして
レットオフがかなり広い状態にしか出来ません。
もちろん消音バーの取付けを見直して
限界までレットオフを狭く出来るようにしてはいるのですが
コルグ(テクニクス)の場合
消音バーの回転軸の固定部分に遊びが出来てしまう構造なのと
消音バー自体のたわみの分も加わり、
さらにピアノ側の季節変化分も考慮した調整にすると
かなりレットオフを広げておかないとなりません。
消音ユニットは電子ピアノで代替えするようにして
ピアノに余計なものを取付けず
元の状態に戻せば、もっと良い音とタッチのピアノになりそうです。

ピアノ防湿器ダンプチェイサー
スティック修理後に再発しないよう

ピアノ防湿器ダンプチェイサーを取付けました。

スティック修理のご依頼は非常に多いです。
ピアノは適湿、適温で管理して頂かないと
快適にご使用頂けなくなってしまいますので
湿度、室温、ある程度気にかけてくださいませ。

フレンジのトルクが適正でない状態のまま
どれだけ調整しても、良い状態にはなりません。
例えるなら、汚れ水垢、鉄粉だらけのまま
自動車にワックス、コーティング掛けしているような状態です。
下地を綺麗にした上で、ワックス、コーティングの効果が生きてくる訳ですから
まずは調整のベースとなる鍵盤からアクションまでを
理想的な状態にしておく事が
良いタッチと響きのピアノに仕上げるために必要不可欠です。

 

 

渡辺ピアノ調律事務所
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