「日本のピアノメーカーとブランド」

日本のピアノメーカーとブランド

按可社さんが「日本のピアノメーカーとブランド(三浦啓一著)」を送ってくださいました。
かつて日本には多くの国産ピアノメーカーやブランドがありました。

 

日本のピアノメーカーとブランド2
「メーカー編」では各々のメーカーについての詳細を、
「ブランド編」では多くの写真や当時のカタログが掲載されていて
眺めているだけでも楽しめる本になっています。
付録のメーカー年表が秀逸です。

 

 

渡辺ピアノ調律事務所
〒154-0016 東京都世田谷区弦巻1-20-14
E-mail  info@piano-tokyo.jp
url  http://www.piano-tokyo.jp/
weblog  https://www.piano-tokyo.jp/blog/

鍵盤が下がったまま戻らない

鍵盤
いつも調律にお伺いさせて頂いているお客様から連絡があり
65(C#)と66(D)の鍵盤が下がったまま戻らないので見て欲しいとの事。

ピアノはカワイのGM-10 ピアノマスク付きです。
特別湿度の高いお宅でもないので
フレンジや鍵盤のスティックは考え難いです。
隣り合う鍵盤で動きが悪くなっているという事なので
鍵盤と鍵盤の間、もしくはアクション部品間に
何か異物が入ってしまった可能性が考えられます。

お伺いして鍵盤を見てみると

65(C#)が左に寄ってしまい、66(D)との間が広くあいていました。
何か入ってそうです。

 

鍵盤の異物
ありました。
小さく丸いものが絶妙に鍵盤の間に嵌ってしまい
鍵盤がスムーズに動けなくなっています。

 

異物を除去
アクションと鍵盤を外して
異物を無事取り除きました。
こんな小さなものでも、入り込んだ場所が悪いと
鍵盤の動作を妨げてしまいます。

鍵盤とアクションを元に戻して動作をチェック。
無事に鍵盤が元通り動くようになりました。

 

渡辺ピアノ調律事務所
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消音ユニットの取外し(ザウター114)

sauter 114 premiere
SAUTER(ザウター) UP114 Premiere の調律と消音ユニットの取外し。

暖かい木の音色と欧州ピアノならではの「鳴り」が魅力のザウターピアノですが
このザウターは腰の抜けたような響きとタッチでイマイチな状態です。

 

コルグ消音ユニット(ハイブリッドピアノ)
変なタッチと響きの原因は、後付けで取付けてある消音ユニット。
このメーカーの消音バー(ストッパー)は
ポン付けした場合、まず直線性は確保出来ません。
多くが低音と高音の消音バーは手前側に寄ってしまうので
やむを得ず低音と高音のレットオフを
異常に広くとって対処してるのをよく見かけます。
このユニットで消音バーの直線を確保するためには
ブラケットを削る等の加工が必要になりますが
ほとんどの場合、必要な加工をせずに
そのまま取付けてしまっているケースが多いです。
このザウターも同様な後付けがされていて
中音のレットオフは概ね8mmから10mm前後、
高音・低音セクションのレットオフは12mmほどと
ピアノの一般的なレットオフ寸法とは
大きくかけ離れてしまっていました。

 

このピアノは前オーナーから
現在のオーナーのもとに来たのですが
今のオーナーさんには消音ユニットは必要ないのに
消音ユニットが付いた状態で納入され
そのまま弾いていたとの事。
まったく消音ユニットは使わないそうなので
今回取り外し、調整を元に戻す事に。

 

取り外した消音ユニット
消音ユニットを取外しました。
取付けにはそこそこの時間が掛かりますが
取り外すのはあっという間です。
アコースティックピアノにはまったく必要の無い部品達が取り外され
ピアノ内はスッキリし、調整作業も効率良く出来るようになり
音とタッチは本来の性能を取り戻します。

 

ダンパーストップレール
消音ユニットは、ただ取り外せばOKという訳ではありません。
ユニットを取付ける時に、外した部品達があります。
「ダンパーストップレール」という長い棒状の部品と
それをアクションに取付けるネジ類達。
今回のお客様の場合は、ストップレールアッセンブリーを
全て保管していてくれましたので
アクションは元の状態に戻せます。

私がこれまで消音ユニットを付けた全てのピアノは
外した「ダンパーストップレール」をお客様にお渡しするか
失くしてしまいそうなお客様の場合には
底板の影響の無さそうなところに
取り外したストップレールを忍ばせてありますので
いつでも元のアコースティックピアノに戻せます。

消音ユニットを取付ける方(もしくはショップ)によっては
ダンパーストップレールを処分してしまうケースが少なくないようですが
ストップレールとネジ類は必ずお客様に渡して頂きたいものです。

 

ザウターピアノ
アクションを元の状態に戻し整調作業を。
鍵盤周りの調整からはじめてアクション側もじっくりと。
問題の広過ぎるレットオフを
高音2mm、中音2.5mm、低音3mmに。

無事にザウターらしく繊細な音から
迫力のフォルテまで出せるようになりました。
お客様の懸念事項だった鍵盤の戻りの悪さも
ご確認頂き問題なしとのことで作業完了。

アクションに一部修理が必要なところが見つかり
この部分は後日アクションをお預かりして修理する事になりそうです。

切りのいいところまでやって6時間ほどの作業でした。
今回手を入れられなかったところは
また次回以降の定期調律で調整していきます。
ピアノは定期的なメンテナンスを継続する事で状態を維持出来ます。

 

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ヤマハのグランドピアノのタッチをなめらかに

以前にお客様のご希望でタッチウエイト調整をした
ヤマハのグランドピアノ C3AEのタッチを
さらになめらかな感触にするために
キャプスタンを交換しました。

 

ヤマハ純正キャプスタン
これはヤマハのグランドピアノに
オリジナルで採用されているキャプスタンです。
「頭の形が平たい」ので
ウイペンヒールを持ち上げていく時に抜けが悪いのです。
そこでキャプスタンの頭に絶妙なアールがかかっている
スタインウェイの純正キャプスタンに交換します。

 

キャプスタンインストーラー
便利な道具を使って、オリジナルのキャプスタンをするすると抜いていきます。

 

キャプスタンの比較
右の3つがオリジナルのキャプスタンで
左の3つが新たに取付けたスタインウェイのキャプスタンです。
左のキャプスタンの頭の部分には丸みがあるのが分かります。

 

キャプスタン交換
全てのキャプスタンを交換して、整調をやり直して完了です。
鍵盤の抜けがよくなり、タッチが滑らかになって
コントロール性が向上します。

 

ヤマハのグランドピアノをお使いの方で
鍵盤に押し込むような感覚や違和感を感じている方々に
オススメの作業です。

 

今回行った方法以外に
キャプスタンを交換せずに
頭の部分に専用のアタッチメントを取付け
丸みを得る方法もあります。

 

キャプスタンの交換単体の作業でも効果は感じられますが
タッチウエイト調整と併せてアクション全体で修正してやると
一層弾きやすいタッチのピアノになります。

 

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除湿器がフル稼働

もうずっと雨ばかりの東京。
梅雨の時期より梅雨らしい天気が続いています。

除湿器
半日もすると除湿器のタンクは満水に。

 

梅雨の時期もそうですが
ここ最近のように気温が低く湿度が高いようなときに
除湿しようとエアコンを入れると
確かに湿度は下がりますが室温まで下がってしまい
寒くて仕方ありません。
(そうならないエアコンもありますが)
このような天候の場合には、除湿器が必須。
除湿器の場合は、むしろ少し室温が上がりますので
寒くて湿度が高いような日の除湿には最適です。
除湿器を可動していて室温が上がりすぎるような場合は
同時にエアコンを可動しておけば
相殺されてちょうど良い室温になるとともに
除湿の観点からも好都合です。
アップライトピアノをお使いであれば
ピアノ本体にダンプチェイサーも取付けておくと鬼に金棒です。
(ダンプチェイサーだけに除湿を頼っているピアノよりも
部屋ごと除湿しつつダンプチェイサーも併用している
ピアノのほうが整調も調律も安定しているようです)

 

このところの長雨で、日々の調律に伺っていて感じる事は
除湿しているお宅のピアノとそうでない場所のピアノとで
コンディションに歴然と差があるということ。
まったく除湿していない環境のピアノは
中音を中心にかなりピッチが上がってしまい
タッチは重くなり、鳴りも悪くなっています。

 

一応除湿しているけれど
感でなんとなくエアコンや除湿器を入れている環境の場合
まったく除湿していない場合よりは大分ましですが
湿度計を見て運用している訳ではないので
本人が思っているよりも実際には除湿出来ていなかったり
場合によっては過剰に除湿しているケースもあります。

 

ある程度信頼の出来る精度の「湿度計」を設置し
その値が適湿となるように除湿されている環境のピアノは
季節や天候に左右されることなく
常に軽快なタッチを維持し、鳴りも良く
調律の変動も最小限に抑えられています。
長期的にみると
ピアノの寿命にも影響してきますので
今お使いのピアノに少しでも健康で長生きしてもらいたい方は
日々の湿度管理を怠りなく。

天然の素材が豊富に使われ
環境の変化に敏感な反応をしめすピアノは
生き物なんだなぁとつくづく感じます。

 

 

ピアノの調律を安定させる為に ~湿度管理~

 
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