C1のハンマー交換と簡易タッチウエイトマネジメント

ヤマハC1
ヤマハの小型グランドピアノC1のハンマー交換
簡易タッチウエイトマネジメント作業を行いました。

平成9年納品の製造番号551XXXXで
まだまだパーツの交換など必要ないピアノだったのですが...

 

下手なファイリング
ファイリングの必要のないピアノでしたが
誰かがアバンギャルドなファイリングをしてしまいました。
もの凄く大胆にがっつり剥いてしまっていて
ハンマーフェルトはボソボソに...

 

ハンマーファイリングの悪い例
近くでみると傾いてファイリングされているのが分かります...
ちなみに正面から見ても傾いてファイリングされているので
あらゆる方向からみて3Dに傾いて剥かれています。
しかもハンマーによって傾き具合もバラバラなのです...
そのためハンマーは3本の弦を同時に叩かず
まともに鳴ってません。

取り急ぎこちらでファイリングし直しましたが
削られ過ぎたハンマーはフェルトの厚みが無く
特に高音セクションはベンベン、ペチペチとした音が出ます。
もともと高音部の弦が断線しやすいピアノでしたが
ハンマーのクッションが無くなってしまい
さらに断線しやすくなっています。

このハンマーはもう限界なので
ハンマー交換をすることに。
今回は某Sさんにお願いして
研修をかねてハンマー交換しました。

 

ハンマーヘッドの穴開け

ハンマーのテーパー加工

ハンマーのテール加工

ハンマー交換
今回はシャンクはオリジナルを使い
ハンマーヘッドだけ交換しました。

ハンマーヘッドを交換したアクションを事務所に持ち帰って
若干の修正をしました。
このヤマハC1、BW43gもありタッチが重いです。
お客様も鍵盤の重さを気にしていたのでタッチウエイトを調整しますが
今回はいつものような精密な調整ではなく
簡易タッチウエイトマネジメントで作業します。
標準的な重さBW38gとなるよう調整していきます。

 

 

ハンマーローラーナックル
ローラーナックルはオリジナルのものににシムを入れて使うか
新しいものに交換するか迷いましたが
結局新しいものに交換することにしました。

 

古いローラーナックル
オリジナルのローラーを取り外して

 

ローラーナックル交換
新しいローラーナックルに交換。
スキンの流れの方向と接着に注意して取付けます。

 

 

WNGキャプスタン
簡易タッチウエイトマネジメントと言いつつ
オリジナルの重たいキャプスタンを
Wessell, Nickel & Gross(WNG)の超軽量キャプスタンに交換します。

 

キャプスタンの下穴開け
WNGのキャプスタンはボルトオンで付け替え出来るサイズもありますが
手元にあるのがオールドスタインウェイ用の
径の太いものなので、下穴を開けます。

 

キャプスタンインストーラー

WNGキャプスタンに交換
キャプスタンがWNGのものに交換されました。
軽量なだけでなく低フリクションなのがいいですね。

 

バランスパンチングの接着
SRを一段階下げるのに
バランスパンチングを接着します。

 

バランスパンチングクロスの半カット
バランスパンチングクロスを半カットしました。

 

ウイペンヒールにシム挿入
ヒールへのシム挿入で
SRをもう一段階下げます。

 

鍵盤鉛を抜く
鍵盤の外側に配置された鍵盤鉛がタッチを重くするので
事前に抜き出します。

 

鍵盤穴開け
BW38gとなる新たな鉛位置を決めてから
鍵盤に穴開けをします。

 

新たな鍵盤鉛の配置
新たに内側に鍵盤鉛が入りました。

 

バランスホールの掃除
前後キーピンを磨き
バランスホールを掃除します。
フロントブッシングクロスは掃除してから
フェルトトリートメントで厚みを復活させました。
すり減ったブッシングクロスは貼り替えるしかありませんが
比較的新しいクロスで潰れただけの状態であれば
膨らます方法もあります。

 

そして本日アクションを納品しました。
高音の打弦点がずれていないかと心配でしたが
Sさんによって高音ハンマーの打弦点は正確に出ていて一安心です。
交換前の安っぽい音がピアノらしい響きに復活し
タッチも標準的な重さになり
とても弾きやすいC1になりました。

Sさんに教えてもらった断線対策も行い
これで今後の断線が減るといいのですが
経過を見ていきたいと思います。

 

渡辺ピアノ調律事務所
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ヤマハC6のタッチウエイトマネジメント

ヤマハC6
タッチが重いので軽くして欲しいというご依頼でアクションをお預かりしました。
ピアノはヤマハC6、製番は 557XXXX です。(平成10年納品)

 

慢性的に湿度の高い戸建の1Fに置かれています。
諸事情で数年空き家にしていたそうで
除湿されることなく置かれていて湿気漬けになっていたようです。
しばらく放置していたピアノを子供さんがこれから使おうということで
弾いてみたところ鍵盤が重くて弾きにくいということで
中村式タッチウエイトマネジメントで調整する事になりました。

 

オリジナルのサンプル
サンプルキーで現状を確認します。
BWはバラツキがありますが40g前後で思ったほど重くはありません。
Fは14から20とかなり大きめ。
HSWは指標8から指標9でそれほど重くありません。
SRは6.0から6.6と高め傾向。
KRは0.5から0.51で問題無し。
FWは全てシーリング値を超えています。

2g重りによるSRは低音6.75、中音6.25、高音5.75
6mm治具でのARは低音6.0、中音5.5、高音5.5
シャンクフレンジはスティック傾向で最大で9g(何故かウイペン周りは3g以下で問題無し)
鍵盤バランスホールはかなりきつ目(要鍵盤調整)
鍵盤前後ブッシングクロスは正常ですが、フロントの中音域で若干ガタ有り。

C4(40key)を3要素関連表で確認してみると
HSWが指標8で、SRが6.3の時
シーリング値マイナス3gを達成するには
BWは45gになるとあります。
しかし実際のBWは40.5gですので
鍵盤鉛が多く入れているか、外側に入れて
BW40.5gにしているという事になります。

 

HSWオリジナル
オリジナルのHSWスマートチャートです。
低音は指標9付近。
中音ミドルエンドは指標7といきなり軽くなり、その後は指標8付近。
最高音は指標7から指標8付近でバラツキが大きいです。

 

このピアノのタッチの重さは
湿気でのスティックによるところが大きいので
作業の方向性としては
・シャンクフレンジのセンターピン交換を行いトルク調整する
・鍵盤調整(バランスホール)
・HSWは指標8で均す
・SRが高めなので低くする
・BWは標準的な重さ38g程度にする
・FWをシーリング値マイナスにする
・Fを下げる

この内容で調整することにします。

 

サンプルキーでのシミュレーション
C4(40key)でシミュレーションしてみます。
HSWは指標8なのでこのままでいきます。
SRはバランスパンチングとウイペンヒールの両方で2段階下げますが
パンチングは半カットせずに1/4カット、2/5カット等を利用して
SRを0.2程度下げることを想定します。
ヒールへのシム挿入でSRは0.4下がるとしてHSWは10.0なので
BWは4g軽くなります。
パンチング部分でSRを0.2下げたと仮定して
この部分で2g軽くなります。
ここまでで下がり過ぎたBWを鍵盤鉛調整でBW37.5gに戻し
FWはシーリング値マイナス2gを達成出来ました。

 

HSW調整後
HSW調整後。
指標8でなめらかに揃いました。
これによりタッチが揃うと同時に、音色のバラツキも揃います。

 

FW比較
鍵盤鉛の配置をシミュレーションします。(c4)
タッチを軽くする方向の作業なので外側222mmにある14mmの鉛は抜きます。
新たに144mmと92mmにワンサイズ小さい12mmの鉛を追加すると
目標FWを満たし、オリジナルよりも慣性モーメントが小さくなり
CoGが0.432と理想値に近づく結果になりました。
CoGを考慮しないならば、もっと慣性モーメント値を小さく出来る
鉛の配置もありますが、今回は出来るだけCoGも理想値に寄せるようにしています。

 

BWと慣性モーメント
最終的にBWは37.5gになりオリジナルの40.5gから7パーセント減。
慣性モーメントは4.5パーセント小さくなる結果になりました。

 

センターピン交換
HSW調整と同時進行でシャンクフレンジのセンターピン交換を行い
トルクを3gで調整しました。
全鍵のフレンジトルク、HSWが揃いましたので
タッチと音色のバラツキが揃ってくる事が期待出来ます。

 

キーピン磨き
前後キーピンは黒ずんでザラツキやベタつきがあるので
鏡面に磨いておきます。
鍵盤フロントブッシングは中音域で左右ガタが少し大きいので
フェルトトリートメントを塗布してからコテで軽く熱することで
クロスの厚みを戻しておきました。
鍵盤のバランスホールと前後ブッシングの汚れも出来る限り落としておき
キーピンには潤滑剤を塗布し、鍵盤フロントブッシングクロスには
PTFEパウダーを塗布しました。

 

BW基準の鍵盤鉛調整
BW基準での鍵盤鉛調整後。
もともと入っていた外側の14mmの鉛を抜いて
新たに内側に12mmの鉛が入りました。

 

整調
ピアノ本体にアクションをセットして整調を済ませ完了です。

標準的な重さBW38gがとても心地よく、とても弾きやすいピアノになりました。

 

除湿器
そして現在は、除湿器(三菱MJ-180MX)を湿度50パーセント設定にして
エアコンも併用し常時運転して頂いているので
今後はスティックの心配もなさそうです。

 

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〒154-0016 東京都世田谷区弦巻1-20-14
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ヤマハC1Xのタッチウエイトマネジメント

ヤマハC1X
ヤマハのグランドピアノC1Xの「タッチが重い(鍵盤が重い)ので
軽く(標準的な重さに)して欲しい」という依頼がありアクションをお預かりしました。
鍵盤が重いので一曲弾ききるのも疲れてしまい大仕事だそうです。
平成26年納品の新しいピアノで製造番号は639万台です。

 

調律作業時に音出しするような弾き方だとさほど重さは感じませんでしたが
椅子に座って曲を弾くと確かに鍵盤が重いような印象を受けます。
ランダムにBWを計ってみるとバラツキはあるものの
白鍵ではBW38gの鍵盤も多く、BWはさほど重くありません。
白鍵に比べ黒鍵BWは全体に重めでした。
それとレペティションスプリングが意図的に弱くされていて
ほとんど効いてないキーも多数あります。

 

除湿器
ちょうど梅雨時期という事もありフレンジのスティックも予想していましたが
除湿器とエアコンで除湿なさっていてスティックはありません。

 

ここからは中村式タッチウエイトマネジメントで分析、調整していきます。

まずHSWの現状をチェックしました。
HSWスマートチャート
指標8から指標9付近でバラツキはありますが、HSWは思ったほど重くありませんでした。
HSWは無理に下げずに指標8.5でバラツキを揃える事にします。

 

オリジナルの平衡等式
オリジナル状態のサンプル音の平衡等式を使って現状を調べます。
BWは白鍵は38g付近で問題ありません。黒鍵は42g近辺で若干重いようです。
HSWも指標8から指標9くらいで別段重い訳ではありません。
Fは低音セクションで最大17.5と大きいです。
SRは5.9から6.4と若干高め。
FWは低音はシーリング値超えで、中音と高音はシーリング値を下回っています。

 

C2(16Key)を三要素関連票で確認すると
HSWが指標9で、SRが6.0の時
FWシーリング値マイナス3gを達成するには
BWは45gになるとあります。
このことからC2キーは
鍵盤鉛を多く入れているか或は外側に寄せて
BW38gにしているということになります。

 

作業の方向性としては
・SRが全体に高いので下げる
・FWをシーリング値マイナス3gを目標に下げる
・HSWは指標8.5でバラツキなく揃える
・Fが大きいので出来る限り小さくする
・BWは標準的な重さ38gに設定

これで進めていくことにします。

 

C#2の事前シミュレーション
低音黒鍵C#2(17key)の平衡等式を利用しての事前シミュレーション。
HSW12.1g(指標9.5)を11.5g(指標8.5)まで0.6g減したとして
SRが6.4なのでBWは約4g小さくなると仮定します。

バランスパンチングの半カットでSRが0.4下がるとして
HSWが11.5gなのでBWは約5g軽くなります。
さらにウィペンヒールにシムを挿入しSRをさらに0.4下げ
BWがさらに5gほど軽くなります。

最後に軽くなり過ぎたBWを元に戻すに際し
鍵盤鉛調整を行いFWは43.3gから34.2gになり
FWシーリング値マイナス3gを達成出来そうです。

あとは大き過ぎるFを下げれば
DWが軽くなりUWは増えて弾きやすくなると思います。

 

C2の事前シミュレーション
低音白鍵C2(16key)の平衡等式を利用しての事前シミュレーション。

HSW11.9g(指標9)を11.6g(指標8.5)まで0.3g減したとして
SRが6.0なのでBWは約2g小さくなると仮定。

バランスパンチングの半カットでSRが0.4下がるとして
HSWが11.6gなのでBWは約5g軽くなります。
黒鍵と違い白鍵はSR一段階下げにします。

最後に軽くなり過ぎたBWを元に戻すにあたり
鍵盤鉛調整を行いFWは41.3gから34.5gになり
こちらも黒鍵同様FWシーリング値マイナス3gを達成出来ました。

白鍵も大き過ぎるFを下げれば
DWが軽くなりUWは大きくなります。

 

FW比較計算表
慣性モーメントを下げつつ目標FWとなる鍵盤鉛位置をシミュレーションします。
外側の14mmの鍵盤鉛を抜いて、あらたに内側に14mmの鉛を入れる効率的作業とします。

 

BWと慣性モーメント
BWは38gを維持で、慣性モーメントは8.7パーセント小さくなるという結果が得られました。
BWが38gと元の重さと変わりませんが、FWがシーリング値マイナス3gになるので
実際に弾いた感じは大分軽快になるのではないかと思います。

 

ローラーの状態
納品から4年ほどの新しいピアノですが
シャンクローラーには黒鉛がだいぶ付着しており
これはFを大きくする要因のひとつなので出来る限り落として
PTFEパウダーをブラシ掛けします。

顧客がある程度除湿をしている事もあり
フレンジトルクのほとんどは3gですが
一部4g、5gがあるので3gで揃えます。

鍵盤前後ブッシングは丁度良い状態でしたが
バランスホールはかなりきついので要調整です。
バランスホールの汚れも落とし
前後キーピンも磨き直します。

 

低音の鍵盤鉛
低音はほぼ全域で鍵盤鉛が4つ入ってました。
最低音部はいいとして、少し多い印象です。

 

 

HSWの減量
HSWの重いハンマーは減量します。

 

HSWの増量
HSWの軽いハンマーは増量します。

 

ヒールにシムを挿入
ヒールにはシムを入れます。
SRを下げる方向なのでジャック側に挿入します。

 

鍵盤鉛調整
最後にBW基準の鍵盤鉛調整を行います。
標準的な重さ、BW38gになるよう位置決めします。

 

鍵盤鉛調整後
新たな鍵盤鉛の配置です。
上の黒鍵では外側の14mmの鉛を抜いて内側に2サイズ小さい10mmの鉛一つを追加。
下の白鍵も外側の14mmの鉛を抜いて、同サイズの鉛が内側に入る格好になりました。
鍵盤鉛を内側に寄せる事で鍵盤は動きやすくなりタッチが軽快になる事が期待出来ます。

 

タッチウエイトマネジメント作業完了
アクション側の作業が済んだらピアノにセットして再度整調します。

顧客が気にしていた和音が連続するような弾き方も試して
作業前よりも軽く楽になっている事が確認出来ました。
タッチウエイトが標準的な重さになりましたので、長時間の練習も捗るのではと思います。

 

タッチウエイトマネジメント(Nakamura Touchweight Management)

 

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カワイKG-2Eのタッチウエイトマネジメント

カワイKG-2E
カワイのグランドピアノの鍵盤が重い...
このままでは疲れてしまったり弾きにくいので
中村式タッチウエイトマネジメントで軽くしました。
ピアノはカワイのKG-2E。

BWは平均で45g程度で、重たい鍵盤では50g超えと重量級です。
これを最終的にBW38gとなるよう調整していきます。

カワイなのでプラ製のフレンジがスティックぎみになっていました。
ウイペンフレンジではトルクが最大8g。
作業を行う中で平行してスティック修理も済ませます。

あがきは10.3mmから10.4mmで
これをこのままにするか10mmに修正するかは調整後に決めます。
作業後ARが下がるので、作業後のARと鍵盤手前距離から
必要なあがき量を出して、実際のアフタータッチも確認しながら決定します。

現状はSRがAvg.6.3、ARはAvg.5.5
スプレッド寸法は113でした。

 

HSWスマートチェート
オリジナルのHSW。
低音は指標6から指標8とアップライトのような軽さでバラツキは大きいです。
一般的にグランドピアノの場合は低音セクションのハンマーは重たくなる傾向がありますが
何故かカワイ系は低音のハンマーが軽いものがあって
以前作業したディアパソンも低音のハンマーが軽い傾向でした。
中音から高音にかけては指標9.5から11と重めです。

 

オリジナルの平衡等式
オリジナルのサンプル音での平衡等式です。
BWは大きく、Fも大きいのでDWが増えています。
FWは中音と高音でシーリング値もしくはシーリング値超え。
HSWはやはり中音から高音にかけて大きく
SRは全体に高めの傾向です。

41keyを3要素関連表で確認してみると
HSW指標が9でSRが6.3の時
FWをシーリング値マイナス3gにするには
BWが48gとなるようですが
実際のBW41.5gですので
この鍵盤の鍵盤鉛が多過ぎる事が考えられます。

 

kawai_kg2e_touchweight03
こちらは40keyでのシミュレーション。
HSWを0.3g軽くしてBWが45gから43gに。
ヒールへのスペーサー挿入でSRが0.4下がると想定してBWは43gから39gに。
もう一段階SRを下げる為にパンチングの半カットによりBWは39gから35gに。
最後に鍵盤鉛調整を行い下がり過ぎたBWを38gまで大きくし
同時にFWはシーリング値マイナス3gを達成出来る事が確認出来ます。

 

HSW修正後
HSWの調整後です。
赤が調整後で黒がオリジナルです。
指標9を目安としていますが
低音セクションは元々が軽過ぎるので
バラツキをならしつつ重めに寄せるのが精一杯です。
最後に鍵盤鉛調整を行う際に、全鍵同じSRでBW38gにした場合
低音のHSWが軽い分、低音の鍵盤が中音と比べ軽く感じてしまう可能性があるので
低音は最低音にかけて少しずつBWを大きくする事で
弾いたときに中音と比べ軽く感じないようにします。
中音から高音にかけては指標9で綺麗に揃いました。

 

FW比較計算表
鍵盤鉛は一番外側の鉛を抜いて内側に移動する効率的作業を選択します。
CoGはどう頑張っても0.376が限界で、効率的作業なのでこの辺りの数値は目を瞑ります。

 

最終結果
最終的にBWは45gから38gまで16パーセント軽くなり
動的重さも7パーセント軽くなりました。

6.3だったSRは作業後5.7に、ARは5.5から5.3に下がりました。

作業後のARから得た最終的に必要なあがき量は10.3mmでしたので
ほぼオリジナルのあがきそのままで若干修正するだけで済みました。
アクションを本体におさめて弾いてみた感じは
カワイと思えないくらい軽快なタッチに仕上がり
これなら何時間でも弾いていられそうです。

 

タッチウエイトマネジメント(Nakamura Touchweight Management)

 

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カワイGX-2のタッチウエイトマネジメント

カワイGX-2
カワイのグランドピアノGX-2のタッチウエイトマネジメントを行いました。

カワイのピアノを使っている方に多い
「音色は気に入ってるんだけど、なにしろ鍵盤が重くて...」
というものです。

 

このピアノを弾くのは高校生で
タッチウエイトの不満と要望は

・短い曲なら何とか弾ききる事が出来るが、長い曲になると途中で手が疲れてしまう
・今より少し軽くして欲しい
・スタインウェイや軽かった時代のヤマハほどは軽くしたくない

といった内容です。

 

話しを伺うと、このグランドピアノの前に使っていたのもカワイのアップライトで
カワイの重たいタッチには慣れているものの
それにしても新調したグランドは鍵盤が少し重いので
もう少しだけ楽に弾けるように軽くなると良いとの事。

依頼者の希望するタッチウエイトが割と明確なので
作業する側としても青写真が描きやすく助かります。

 

そして昨日、仕上ったアクションを納品し調整を済ませました。
お客様からは
「タッチ、とても良い、弾きやすい」との感想を頂戴しました。
弾き手の思い描く理想のタッチウエイトに調整されると
何時間でもピアノを弾いていられるようになります。

 

ピアノは納品されてまもないGX-2で
整調は概ね問題ないものの
中音下あたりのダンパー掛かりが遅く
ダンパーが上がりきっていないのと
総上げもバラツキがあったので、修正しました。

少し弾かせて頂いた感じで
すぐに「重い!」と感じるくらいにタッチの重いピアノです。
アクションをお預かりして重さの原因を分析し調整します。

 

オリジナルの平衡等式
サンプルキーでのオリジナルの平衡等式。

BWは49g前後と重め。

HSWは低音は指標9.5前後で思ったほど重くないですが
次高音から最高音は指標10から11と重め。

平衡等式から得られるSRは6.3から5.9。
2g治具で低音が6.5と高め、中音と高音は6.0。

Fは鍵盤によって若干高め。

FWは予想に反し小さめのキーが多いです。

6mm治具によるARは5.7。

 

今回は今より少し軽く作業ですので
HSWを一定量下げて
SRは一段階だけ低くして
BW基準の鍵盤鉛調整をすれば
顧客の希望するタッチになりそうです。
目標とするBWは43gにして
慣性モーメントも少し小さくすることで
長時間弾いても疲れないタッチを目指します。

 

オリジナルのHSW
オリジナルのHSWスマートチャート。

低音は指標9から10、中音割振り付近で指標11のものがあり
次高音から最高音も指標10から12と重めでした。

全域を指標9.5くらいまで下げて
BWと慣性モーメントを小さくする方向で調整します。

 

鍵盤テンプレート
慣性モーメントも変更したいので
鍵盤テンプレートを作成。

 

 

FWと慣性モーメント
オリジナルのFWが小さかったので
慣性モーメントを操作しない作業ならば
Dの「別の効率的作業」で、外側の鉛を僅かに削れば
それで目標FWとなりますが
慣性モーメントも小さくしたいので
Cの「効率的作業」、外側の鍵盤鉛は抜いて
内側に移動する作業を選択します。

今回はC0Gも意識して鍵盤が効率的な運動をするよう調整します。
このキーではC0Gが0.430となっています。

 

オリジナルと作業後の比較
BWが9パーセント小さくなり
慣性モーメントは5.8パーセント小さくなる
という結果が得られました。

 

 

HSW調整後
調整後のHSW。

指標9.5くらいで綺麗に揃いました。(赤丸)
音色のバラツキも解消されそうです。

 

カワイのウイペン、スティック修理
弾いた感じ妙に重く弾きにくいのと
Fが大きめの鍵盤がある事から大体想像はつきますが
カワイのプラスチックアクションがスティックを起こしていました。
今年は特に8月が長雨でしたので
カワイ使用者からのスティック修理依頼が急増中...

新品ですが、少しでも湿度が高いと
カワイのアクションはスティックを起こすので注意が必要です。

お客様はエアコンこそ24時間運転しているものの
湿度計で確認している訳ではなかった為
実際に湿度が下がっているかは確認しておらず
「多分乾いてるんでしょう?」という程度の運用でした。
実際の湿度をチェックしてみると室温26度で湿度60パーセントでした。
この室温だともう少し湿度が低いほうがいいですね。
木製アクションのピアノならば
この程度の湿気であれば普通に動いてしまうところ
カワイのアクションだとスティックしてしまうようです。

ダイキンのエアコンをご使用で
このエアコンならば本来はもっと除湿能力が高い筈ですが
購入から5年は経過していて
その間、クリーニングを行っていないとの事で
除湿性能がかなり落ちているものと思われます。
3年から5年に一度、
メーカーに「分解洗浄」を依頼すると
驚く程エアコンの性能が復活しますので
ピアノの定期調律と同様、エアコンの「分解洗浄」も定期的に行う事をオススメします。
そのうえで湿度計で湿度をチェックして
任意の湿度まで下げられない場合は
関東地方であればコンプレッサー式の除湿器を
エアコンと併用して頂ければ、適湿まで下げられるでしょう。

ウイペンフレンジのスティックが特にひどく
10g超えでトルクゲージを振り切ってしまうフレンジが多数。
サポートフレンジも同様で、ジャックは6gから8gとやはり高め。
シャンクフレンジは2gから3gと問題なく
これはシャンクだけは木製だからで
雨が多く、湿度の高い日本では
プラスチックアクションは少々扱いにくいです。
カワイの場合はシャンクだけ確認して動いていても
下部のウイペンアッセンブリーは総プラスチックなので
こちらがスティックしている場合があるので要注意です。

全てのフレンジのトルクをチェックし
適正トルクに修正しておきました。

 

キャプスタン
キャプスタンの状態ですが
右がカワイのオリジナル状態、
左が研磨後です。

納品したての新品でも
傷がありデコボコしていましたので
1500番から2000番のペーパーを掛けてから
バフ掛けし鏡面仕上げにしました。

ドロップスクリューも似たような状態でしたので
こちらも磨き直しています。

 

 

鍵盤の鉛抜き
BWを小さくして慣性モーメントも小さくする作業なので
事前に手前側(外側)の 鉛を抜いてしまいます。

カワイGX-2のオリジナルの鉛の配置は
かなり外側に寄せて入れていました。
DW基準で入れているからでしょうが
これでは慣性モーメントが大きくなってしまいます。

鉛のかしめは甘く、簡単に抜き出す事が出来ました。

 

BW基準の鍵盤鉛調整
BW基準の鍵盤鉛調整で
新たに鉛を入れる位置を決めます。
今回は少し重めとしますのでBWは43gとし
事前のシミュレーションで得られた
慣性モーメントを小さく出来、
且つ目標とするC0Gを満たす位置になるよう
鉛の位置を決めていきます。

 

鍵盤の鉛入れ
新たな鍵盤鉛は内側に寄せて入れました。
音域により、元の鉛よりサイズを小さく出来たり
鍵盤によっては新たな鉛を必要としないキーもあります。
タッチウエイトマネジメントでは
鉛の位置を内側に移動出来たり
鉛のサイズを小さく出来たり、鉛の数を減らせたり出来ますので
タッチウエイト変更の自由度が高く
またその組み合わせも多様です。

 

  • 鍵盤が重いので軽くしたい
  • 鍵盤が軽過ぎるので重くしたい

等の
タッチウエイトの調整、承ります。

まずはメールでお問い合わせくださいませ。

 

タッチウエイトマネジメント(Nakamura Touchweight Management)

 

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