ヤマハのアップライトピアノ U100SX にグランフィールを取付けました。
以前は奥様が使っていたピアノで
ヤマハ純正のサイレント(消音ユニット)が付いています。
現在は子供さんが主に弾いています。
現在お住まいの戸建では消音ユニットは必要ないので取外し、
この機会にグランフィールを取付けることに。
消音ユニットは出来る限り付いていないほうが良いもの。
このピアノも消音都合の整調(せいちょう)になっていて
レットオフ(ハンマー接近)は7mmから9mmとかなり広くしてあり(本来は低音側から3mm,2.5mm,2mm)、結果タッチは力無い腰抜けのタッチになっています。
レットオフがこれだけ広いと音色も当然ショボクレてます。
作業前にもう一点気になるのは
バランスキーピンが酷く錆びているものが20本近くある事。
軽度の錆やくもりは磨いて済ませますが
今回は錆が酷いので交換と判断。
錆の酷いバランスピンを交換。
ピアノの性能を落とす消音ユニットを取外し、ピアノ内部はスッキリしました。
サイレント(消音)を取り外しただけではピアノはオリジナル状態にはなりません。
消音ユニットを外すとストッパー(消音バー)のところがぽっかり空いてしまいます。ここには元々ダンパーストップレールという角棒が取り付いていなければなりません。
またグランフィールパーツのうちドロップスプリングは、ダンパーストップレールに取付けることになりますので、ストップレールが必須となります。今回はヤマハから純正のダンパーストップレール、L型アングル、ネジ類を取り寄せて、ピアノをオリジナル状態に戻しました。
グランフィールパーツの要、レペティションスプリングを取付けるためにレギュレチングレールを外し、底からレギュレチングボタンを確認すると、小ジャックの黒鉛の痕が横一直線...
これが何を意味するかというと、このピアノは納品されてから整調が満足にされてこなかったことを意味します。少なくともレットオフはまったく触っていないでしょう...
グランドのタッチを再現する為に必須の作業、ハンマーバット加工を行います。アップライトのタッチについてまわる「カラのある感覚」を無くすとともに、ジャックの動作をスムーズにします。
アップライトピアノにレペティションスプリングが搭載されました。私の場合、タッチに違和感を感じる事の無いように少し独自の工夫を加えて取付けています。ダウンウエイトが重くなる事はありませんしバネ感も最小限に抑えられます(しかしスプリングはしっかり効かせています)。ポイントはレペティションスプリングの取付け位置と角度。ジャックとの位置関係を最適にしてやればスッキリしたタッチを得られます。
ヤマハのサイレント用のハンマーレールクロスは、シャンクが当たる度にペチペチ言って不快なので、普通のクロスに交換しました。
元々の打弦距離は低音が47mmから48mm、中音ミドルエンドが51mm、その他中音48mm、高音が47.5mmだったので、46mmに再調整。(ヤマハの場合47mm+-1mmの間で調整します)
あがきは10.2mmだったのを10mmに修正。(あがきは10mm+-0.5mm調整します、基本はあくまで10mmです)
消音設定の広すぎたレットオフは低音側から3mm,2.5mm,2mmに修正。
ヤマハサイレントの狭いハンマーストップも低音側から15mm,14mm,13mmに修正。
基本に忠実な整調寸度に調整するだけで、とても弾きやすいピアノになります。
グランフィールパーツのお陰でトリルや連打で音抜けする事もなく、グランドピアノのようにppが表現しやすくなりました。
ショット&ドロップスプリングによる効果で倍音が増して華やかなグランドピアノの響きが得られるようになりU100SXがワンランク、グレードアップしました。
「グランフィール」については
以下のページに詳細を掲載しております↓
http://www.piano-tokyo.jp/granfeel.html
渡辺ピアノ調律事務所
〒154-0016 東京都世田谷区弦巻1-20-14
E-mail info@piano-tokyo.jp
url http://www.piano-tokyo.jp/
weblog http://www.piano-tokyo.jp/blog/
※ほとんどのアップライトピアノに取付け出来ますが一部取付け出来ないピアノもございます。
※ハンマー「バット」加工が必要な商品の特性上、バットスキンの劣化が激しいピアノやバットスキンが合成皮革のピアノの場合別途バットスキン交換費用が掛かる場合があります。
・グランフィール技術は藤井ピアノサービスの特許商品です。
・Granfeel は、藤井ピアノサービスの登録商標です。