カワイKG-2E(平成3年)のタッチウエイトマネジメント

カワイ KG-2E ピアノ
平成3年納品のカワイKG-2Eの
「タッチウエイトマネジメント」作業を行いました。

ピアノの先生がご自身の教室でご使用のピアノで
先生ご自身も以前からタッチが重いなと感じていて
生徒さんからも鍵盤が重いと言われるそうです。
買い替えを検討なさった事もあるそうですが
そこは思い入れのあるピアノでもあるので
このピアノを調整で治して欲しいとの事です。
大丈夫、標準的なタッチのピアノになります!

 

中村式タッチウエイトマネジメントを利用して
調整を進めていきます。

オリジナルのサンプル音の平衡等式
オリジナルのサンプル音で平衡等式を作成します。
BWは45.5gから50.5gと全鍵で重すぎて弾けない数値。
Fは15.0gから22.5gで、これはスティックが疑われます。
FWは、このピアノは鉛が少なく、シーリング値を下回る鍵盤が多いです。
HSWは低音が指標7から7.5、中音から高音は指標10近辺。
SRは6.1から6.8と高め。

このピアノは元々タッチを重めに設定して造られているようで
妙に鍵盤鉛が少なく低音の鍵盤で鉛数が2個だったりします。
その内の1個は必ず事務的に外側に入れてあります。
そのためBWは大きく、慣性モーメントも大きくなって
とても鍵盤の重いピアノになっています。

調整の方向性としては
中音から高音にかけて重いHSWを指標9に下げて
高過ぎるSRを下げ、BWは38gを目標値に設定。
FWをシーリング値マイナスとなるようにしつつ
鍵盤鉛は内側に寄せて慣性モーメントを小さくする。
Fも大きいので標準値まで下げる。
そんな感じで進めていきます。

 

オリジナルのHSW
オリジナルのHSW。
カワイ特有で、低音は軽く(指標7から指標7.5)
中音から高音にかけては重め(指標10前後)。
低音はもう少し重くして、中音と高音は軽くし
指標9に寄せる事にします。

 

平衡等式を利用してのシミュレーション
C4(40key)での平衡等式を利用してのシミュレーション。
HSWを指標10から指標9へと下げ(0.4g減)
BWは47.5gから45.5gに。

パンチングの半カットでSRがo.4g下がるとすると
BWは45.5gから41.5gに。

さらにヒールへのシムの挿入でSRを0.4g下げ
BWは41.5gから37.5gに。

最期にBW基準の鍵盤鉛調整を行い
BWが38g、FWはシーリング値マイナス1.4gになって
支障なく演奏可能なピアノに仕上がりそうです。

 

HSW調整後
HSW調整後(赤)。
ばらつきのあったHSWが綺麗に繋がりました。
タッチが揃うと同時に音色も揃いやすくなります。

 

FWと慣性モーメントの事前シミュ
いちばん外側の大鉛は抜き出して
新たに140mmの位置に12mmの鉛を追加する
C 効率的作業を選択。

 

BWと慣性モーメント
最終的にBWが20パーセント減、
慣性モーメントは8.4パーセント下がる結果となり
これなら以前の状態よりもかなり弾きやすくなりそうです。

 

キーピン磨き
今回はBW基準で鍵盤鉛調整を行いますが
事前にFの処理をしておく事が重要です。
前後キーピンを綺麗に磨きなおしておきます。
写真は割愛しますが、その他に
・フレンジのセンターピン交換
・シャンクのローラーの清掃と潤滑
・ヒールクロスの清掃と潤滑
・前後キーブッシングクロスの清掃と潤滑
・バランスホールの清掃
・キーピンの潤滑
などを済ませてあります。

このピアノは納品から30年ほど経ち
ピアノ教室のピアノという事もあって
鍵盤のブッシングクロスが潰れて
左右にガタが出ていたので
フェルトトリートメントを塗布して一晩おいてみたら
クロスがかなり膨らみ左右のガタが解消しました。
クロスがすり減ってなかったのが良かった。

 

慣性モーメントを加味した鍵盤鉛調整
これは中音の鍵盤で、
外側に入っていた鍵盤鉛は抜き出して
新たに奥側に鉛を入れてあります。
使われる鉛の数は変わりませんが、鍵盤鉛を支点側に入れる事で
慣性モーメントが小さくなり、タッチが軽くなります。

 

 

Kawai KG-2E piano
アクションをオーナーの元へお届けして
整調、整音を行います。
整音に取り掛かろうとしましたが調律がかなり狂っていて
このままでは整音作業が出来ないので
手早に調律を済ませてから整音作業を行いました。

作業が全て終わり、さっそく先生に試弾してもらったところ
「違うもんですね!」とにっこり。

これまではエアコンのみで除湿していたそうですが
大分スティックが見受けられる状態でした。
今後は除湿器を導入するそうなので
スティックの心配はなさそうです。

 

渡辺ピアノ調律事務所
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