カワイGM-12Gのタッチウエイトマネジメント

カワイ グランドピアノ GM-12G
1年ほど前に某所で購入なさったという
カワイのベビーグランド GM-12G 。
購入するときの試弾でも「鍵盤が少し重いな」と感じてはいたものの
「弾いているうちに変わってくるかなと」と思ってご購入。
その後もタッチは重いままで、6歳の娘さんもこのピアノを弾くので
タッチを軽くして欲しいという事で
タッチウエイトマネジメント作業をご依頼頂きました。

 

先日作業を終え納品させて頂いたところ
「軽い!」ととても喜んで頂けました。

 

 

アクションをお預かりする一ヶ月ほど前に
一度調律にお伺いさせて頂き状態を拝見させて頂きました。
お伺いして弾いてみた感じ
タッチはかなり「重い」です。
もともと重いタッチなのにくわえて
シャンクフレンジのトルクがかなり大きくなってそうです。
何故かセンターピンが棚板に落ちていたのですが
この理由はあとで判明します。

 

オリジナルのサンプル音で平衡等式を作成
まずはオリジナル状態でサンプル音の平衡等式を作成し現状を把握します。

BWはほとんどのキーで45gを超えていて弾くのが難しい重さ。
Fは16gから20.5gと高め。
FWは鍵盤鉛が少ないのでシーリング値以下。その分BWが重くなっています。
HSWは低音では指標8から指標9.5、中音から高音は指標10から指標11と高め。
SRは5.5から5.8で思ったほど高くはありませんでした。

 

オリジナルのHSWスマートチャート
オリジナルのHSWスマートチャート。
低音は指標8から指標10程度、
中音から高音は指標9から指標11くらい。
中音から高音にかけて重いので
バラツキを揃えつつ指標9程度まで下げると良さそうです。

 

平衡等式を利用したシミュレーション
C4(40Key)での平衡等式を使ってのシミュレーション。

HSWを0.6g削減してBWを48.5gから45.5gに。
パンチングの半カットでBWが45.5gから41.5gに。
ヒールへのシムは中央に挿入だけしておきSRはそのまま。
最期に鍵盤鉛調整を行いBWは38gになり、
FWはシーリング値マイナス3.1gとなって
問題なく弾けるピアノになりそうです。

 

FWと慣性モーメント計算表
一番外側に入っている大鉛を抜いて
距離#4に10mmの鉛、距離#2と距離#1に14mmを追加する
効率的作業を選択しました。

 

 

BWと慣性モーメントの想定値
結果はBWが22パーセント減、
換算慣性モーメントは10.4パーセント減という結果となり
弾きやすいピアノになりそうですね。

 

 

HSW調整後
HSW調整を行いました。
黒がオリジナル、赤が調整後です。
指標9を目標に隣り合うハンマーの重さが揃いました。

 

 

このピアノのヒールクロスには
実は既に別の調律師さんによって
シムが入れられているのですが...
ヒールシム

 

センターピンをシムとして使っていて
横にずれて飛び出してしまっています...
横にずれたヒールシム
ちょっと見辛いですが
シムとして入れたセンターピンが
キレイに左側に飛び出してしまってます。
アップライトのバットのセンターピンが
横に飛び出してしまっている事がありますが
あんな感じでズレちゃってるのです。
完全に抜け落ちて棚板に落ちているものもありました。
センターピンはヒールシムには向かないようですね...

 

 

ヒールシムの入れ直し
という事でズレないシムに入れ直しておきます。
パンチングのカットと違い
ヒールシムは前後に移動可能なので
後からSRの調整変更が可能です。

 

 

オリジナルの鍵盤鉛の配置
オリジナルの鍵盤鉛の配置。
低音から中音の途中までは基本的に同じ位置に入れられています。
外寄せなのと低音としては鉛数が少ないので
BWが大きく慣性モーメントも大きくなるので
とても重いタッチになってしまっています。
使用されている鍵盤鉛は大鉛1種類で
低価格帯のベビーグランドは
徹底的にコストダウンされ製造されています...

 

 

白鍵の鍵盤鉛

黒鍵の鍵盤鉛
新たな鍵盤鉛の配置になります。
外側の大鉛を抜いて
新たに内側に鍵盤鉛を入れる事で
慣性モーメントは小さくなりタッチが軽くなります。

 

ハンマー左右調整
事前整調は済ませてありますが
ピアノにアクションをセットして再度整調を行います。
このピアノは多くのハンマーが右に寄っていて
左の弦をきちんと叩いていない状態でしたので
事前にハンマーのファイリングを済ませておき
ハンマーの左右調整をやり直しました。

 

鍵盤あがき整調
SRを2段階下げていますので、ARも下がっています。
このピアノではあがきを10.5mmに設定しました。

 

ダンパー掛かり調整
ダンパーの掛かりが早いところがあるのと
掛かりのバラツキがありましたので
ダンパーの掛かりを調整しました。

 

ペダルの雑音
ダンパーペダルを踏む度にギシギシ言うのは
発生源を探すと1ヶ所はレール突き上げ丸棒で
もう1ヶ所はペダル突っかい棒を
ペダルボックスに固定するネジが緩んでいたのが原因。
増締めしたら鳴らなくなりました。

 

タッチウエイトマネジメント作業完了
整調を済ませ、もう一度調律をしてから
整音を行い作業完了です。
ベビーグランドながらよく鳴るピアノで
タッチも軽くなって、とても弾きやすいピアノになりました!

 

グランドピアノの重たいタッチ、標準的なタッチに調整します。
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Eメール info@piano-tokyo.jp までお気軽にどうぞ。

 

渡辺ピアノ調律事務所
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