ザウター(SAUTER)UP114Premiereの修理

ザウターピアノのアクション
ザウター(SAUTER)のアップライトピアノ、
114 Premiereのアクションをお預かりしての修理。

 

・同じ音を続けて弾くと1度目は音が出るが2度目以降鳴らない
(鍵盤が下がったままになる事もある)
・タッチが重い

アクションを調べると
多くのフレンジがスティックを起こしていますので
センターピンの全交換が必要な状態。

ダンパーレバークロスのスプーンと接する部分に穴があいてしまい
スプーンの動きに支障が出ているのでレバークロスの貼り替えが必要。

タッチが重いのは主にスティックの影響ですが
バットスプリングの圧が少し強めなのと
ダンパーレバースプリングの圧がかなり強めで
ダンパーペダルを踏まずに弾いたときと踏んで弾いた時との差がありすぎるので
スプリング圧を適正にしてやると弾きやすくなりそうです。

スティックは湿度が高過ぎる環境下にあると起こりやすいです。
「スティック」とはアクションの可動部の動きが悪い状態を言います。
このピアノの場合はアクションのフレンジでスティックを起こしていますが
フレンジだけでなく、鍵盤の前後ブッシングクロスでも起こり
こちらは通例キースティックと呼ばれています。
このピアノの場合は1F設置なので慢性的に湿度が高いことに加え
梅雨時でもお構いなしに窓開けをしていたりした為スティックが酷くなっています。
ピアノは適湿の下でないと次第に正常に動作しなくなりますので
湿度計の数値を確認しながら除湿器と加湿器を使って湿度管理すると
スティックを起こすことなくお使い頂けます。
このザウターピアノは前オーナーから譲り受けたもので
前オーナー宅の環境もあまり良くなかった模様です。

 

バットフレンジのセンターピン交換
バットフレンジのセンターピン88ヶ所を交換し
フレンジを適正トルクに調整します。
交換前のフレンジは最大で9gから10gもありました。
同時にバットスプリング圧をほんの少しだけ下げておきます。

PTFEパウダー施工

バットスキンの黒鉛を落としPTFEパウダーで潤滑しておきます。
バットの形は綺麗なのでバット加工は必要ありません。
センターピン交換後にハンマーをまとめてクランプにセットして
ファイリングを済ませます。

 

ウイペンのセンターピン交換
ウイペン88ヶ所とジャック88ヶ所のセンターピンも交換です。
ダンパースプーンの頭にスラッジが溜まりザラザラになっていて
それがダンパーレバークロスを削ってクロスに穴を開けるので
スプーンの頭をツルツルに磨きなおして潤滑しておきます。

 

ショートジャック
ジャックは50mmの超ショートジャックです。

 

クロスのへこみを修正
ヒールクロスのキャプスタンとの接点が潰れへこんでいるので
ベンジンで清掃してから
vs profelt treatmentを塗布して一日置いて膨らませます。
すり減っているのでなければ意外と復活します。
そのあとPTFEパウダーを施工しておきます。
各アッセンブリーはセンターレールに戻したら
間隔、走りなどを再調整します。

 

ダンパーレバークロスの穴
ダンパーレバークロスに穴があいてしまい
ダンパースプーンの動きに影響が出ていました。
しばらくピアノを使わない期間があって
その後使いはじめたピアノで時々みられる症状です。
スプーンとレバークロスは滑りながらの動きになるので
レバークロス表面はフラットでないとスムーズな動きが出来ません。

 

新しいレバークロスの準備
新しいダンパーレバークロスを準備して貼り替えます。
貼り替えたクロスには潤滑と雑音対策としてPTFEパウダーを施工します。
ダンパーの作業では強過ぎるレバースプリング圧も少し下げておきます。

 

ザウターピアノ
アクションの修理が終わり、お客様の元へ納品と調整。
重たいタッチも改善して、続けて同じ音を弾こうとした時に
鍵盤が下がったままになり音が出ない症状も改善されました。
「働き」をあと少しだけ出したい状態でしたので僅かに働きを大きくし
タッチウエイトは軽快だけど
指先はしっかり満足が得られる弾き心地に調整しました。

今後は湿度管理をして頂けるようなので
スティックが再発することは無いと思います。

 

 

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