タッチレールの取付け(R.HOLLMAN)

R.HOLLMAN PIANO
グランドピアノの重たいタッチを軽くするGP専用ツール
「タッチレール」を R.HOLLMAN に取付けました。

このR.HOLLMAN、
長期間メンテナンスせずに放置されていましたが
また弾いてもらえる機会が来て
再び調律、調整をしております。
最初に訪問した時には
鍵盤激重、止音不良、雑音まみれ、等
放置プレーが症状となって現れていました。
短期間に何度も通わせて頂いて
繰り返し調律、調整し
5回、6回目にお伺いしたくらいから
ようやく少しピアノらしくなってきました。

当初、鍵盤のダウンウェイト(以下DW)は
ほぼ全鍵に渡って 70g超えの体育会系タッチでした。
何度か調整して65g程度までにはなりましたが
まだまだ重たいです。
基本、重ため設計のピアノのようです。
(現在、鍵盤の標準的な重さはDW50g程度)

そこで
グランドピアノ専用、オーダーメイドのタッチ軽量化ツール
「TouchRail(タッチレール)」
取付ける事になりました。

タッチレールには2タイプありまして

  • 標準タイプ(1gから10gの範囲で軽く調整可能)
  • 特に鍵盤の重いピアノ用(10gから20g1gから10gの範囲で軽く調整可能)

今回は、10gから20gのタイプを使い鍵盤を軽く調整します。

鍵盤押え
こちらは元々の状態。
鍵盤の上に横に走っているのが
オリジナルの「鍵盤押え」です。
タッチレールはこの鍵盤押えと置き換えて取付けます。

タッチレール1
タッチレール2
タッチレール3
ピアノ1台ごとにオーダーメイドですので
鍵盤割りに合わせて spring cap とcompression springが
配置されています。

分銅
タッチレールを取付けたら
あとは通常の鍵盤ウェイト調整と同じように分銅を使い
任意のDWになるよう spring cap を廻し調整していけば完成です。
今回はDW50gになるよう調整しています。

spring cap が1鍵ごとに付いていますので
鍵盤ごとに独立して調整が可能です。
鍵盤全域のDWを軽くしつつ
同時に隣り合う鍵盤での重さの誤差が無くなるよう
調整することにも対応出来ます。
また、鍵盤押えと置き換えているだけですので
鍵盤押えを付ければ、簡単に元の状態に戻すことができます。

タッチレール取付け完了
調整完了です。
前回までの作業でDW70g超えから65gに。
そして今回タッチレールを取付けた事により
DW65gから50gとなり
格段に軽く弾きやすいピアノになりました。
軽くなったというよりも
標準的な重さになったと言ったほうが正確かもしれません。
速いパッセージでも指が鍵盤に負けてもたつく事もありません。

タッチレールは
リフトウェイト(アップウェイト)に与える影響も少ないので
DWは軽くしつつ
鍵盤が底から元の位置に戻る際の力も充分確保出来、
これも弾きやすさに貢献していると思います。

修行僧のように重たい鍵盤と格闘している方はいませんか?
弾き難い鍵盤のピアノを我慢して弾いていても楽しくありませんし
極端に重たい場合、体にも決して良くはありません。
DW60gを超えているような場合は
タッチレールで弾きやすいピアノに調整出来ます。
鍵盤の重さが適正であれば
長時間弾いていても、まったく苦になりませんので
ピアノを演奏するのが、より一層楽しくなります。

猫
猫は暖かい場所を知っています。

昼
A様、お昼ありがとうございました。

タッチレールに関しては以下のページも参考にどうぞ↓
http://www.piano-tokyo.jp/touch-rail.html

 

タッチレールの取付け(R.HOLLMAN)@千葉県印旛郡

 

渡辺ピアノ調律事務所
〒154-0016 東京都世田谷区弦巻1-20-14
E-mail  info@piano-tokyo.jp
url  http://www.piano-tokyo.jp/
weblog  https://www.piano-tokyo.jp/blog/

小型のグランドピアノを弾きやすくする為の工夫

ヤマハC1_SG
ヤマハのコンパクトなグランドピアノ、C1-SGの
鍵盤を弾きやすくする為の調整をしました。
午前中に定期の調律作業を済ませ
午後からそれらの作業に着手です。

 

こちらのC1-SGは
納品された時点では非常に鍵盤が重かった為(DW60gから65g前後)
お客様からのご要望で
以前、鍵盤を軽くするための調整を行い
現在は標準的な重さ
「ダウンウェイト50g(リフトウェイト25g以上確保)」に仕上がっています。

DWが50gとなって、調整の前の状態と比べると
格段に弾きやすくなりましたが
あともう一歩、弾きやすくしたい感触が残っています。
鍵盤を下ろす時に僅かに「押し込む感触」が感じられます。
もっとスムーズに鍵盤が下ろせたなら
コントロールしやすくなる筈です。

スタインウェイ純正キャプスタン
そこで今回は
「キャプスタン」をヤマハのオリジナルから
スタインウェイの純正品に交換しました。

鍵盤の奥にキャプスタンが

キャプスタンは、鍵盤の奥側に取り付いている
金属製のネジのような部品です。
アクションの下端となるウィペンを押し上げる
小さいけれど大切な役割を担う部品です。
鍵盤とアクションの唯一の接点ですので
その意味でも非常に重要なパーツと言えるでしょう。

ヤマハのキャプスタン

ヤマハ(シルバーの方)のキャプスタンの頭の形状に注目してみると
「平たい」頭の形をしています。

キャプスタンの違い

キャプスタンの違い2
いっぽうのスタインウェイのキャプスタンの頭は
「絶妙な丸み(アール)」を帯びています。
この「丸み」が鍵盤のコントロール性を向上させるのに貢献します。

 

ボディーの小さい(短い)グランドは
本体のサイズだけでなく
中におさまっている鍵盤の長さまで短いのです。
鍵盤は上下運動ではなく
バランスピンを支点にした回転運動です。
鍵盤の長い大きなグランドピアノであれば
鍵盤を底まで下ろした際の角度は小さくてすみますが
短い鍵盤で同じ量(約10mm)下ろした時
鍵盤の傾斜は、長い鍵盤のそれと比べ
急な角度になってしまいます。
また、短い鍵盤は長い鍵盤をくらべ
梃子(てこ)の面でも不利になります。
この時、キャプスタンの頭にちょうど良い丸みがあれば
短い鍵盤の短所を少しカバー出来るのです。

交換前のオリジナルキャプスタン
キャプスタン交換中
全てのキャプスタンを交換
キャプスタン
キャプスタン
88個全てのキャプスタンを交換しました。

キャプスタンの交換後
試弾した印象は、作業前に想定していたのとほぼ同じ。
鍵盤をグッと押し込む感じが軽減されています。
鍵盤が上面からスタートし
底面に到達するまでの感触に違和感が無くなり
コントロールがしやすくなってます。
ヤマハのA1、G1、C1、G2、C2、辺りでは
特に体感しやすいと思います。

 

今回はキャプスタンごと交換しましたが
キャプスタンの頭の丸みだけを変える事が可能な
アタッチメントもありますので
そちらを使うのでも良いと思います。
また、ピアノがきわめて新しいこともあり
キャプスタンのみを交換しましたが
年数の経過したピアノで
ウイペンのクロスにえくぼが出来ていたり
消耗が激しい場合は、クロスをフラットに修正するか
新しいクロスに張り替える作業を同時に行うと
キャプスタンが滑らかにウィペンを持ち上げてくれます。

 

thanks!
O様、お菓子ありがとうございました。

 

小型のグランドピアノを弾きやすくする為の工夫@神奈川県鎌倉市

 

渡辺ピアノ調律事務所
〒154-0016 東京都世田谷区弦巻1-20-14
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グランフィールPV

 

3年ぶりの開催となる楽器の大イベント
「2014楽器フェア」にて
グランフィールがお試し頂けます。

http://musicfair.jp/
「2014楽器フェア」は、東京ビッグサイトにて
11/21(金)、22(土)23(日)開催です。

 

渡辺ピアノ調律事務所
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ダンプチェイサーを初めて導入する際の注意点

湿気でお困りのユーザーさんのピアノ(ヤマハU3H)に
調律にお伺いしたのと同時に
ピアノ防湿器「ダンプチェイサー」を取付けました。

ダンプチェイサー

ダンプチェイサーは
響板周りの湿度を安定させて
調律(音律、ピッチ)を安定させる装置です。
グランドピアノの場合は、特徴そのままに機能しますが
アップライトピアノに取付けた場合に限り
箱(ケース)の内側にダンプチェイサーを取付けるため
響板周りのみならず
アクションやピン板といった
ピアノ全体を湿気から守るという
ありがたい副産物がもれなく付いてきます。

 


ダンプチェイサーは

初めて導入する場合のみ、少しだけ注意が必要です。
私の場合に限っては以下のようにして頂いてます。

  • 1. 取付け(設置)は、1年365日いつでもOK
  • 2. 初めて導入される方の場合に限り、電源を入れるのは1月から2月頃に
  • 3. 製品のみの販売はせず、必ず取付けとセットでご提供

 
1. に関しては、このままです。
お客様が取付けたい時に取付け、設置出来ます。

 
2. について、ここが大変重要です。
ダンプチェイサーは想像以上によく効きます。
その為、ピアノが余剰な水分を吸ってしまっている時に
導入してしまうと、ピアノから急激に水分が抜けることになり
響板周りの割れ・剥がれや
アクション、外装その他の反り、割れ、剥がれといった
トラブルを招きかねません。
実際に、お客様が個人的にどこかで
ダンプチェイサーを購入してきて自分で設置、
梅雨時や夏場にダンプチェイサーを導入したために
各部接着の剥がれ、木部の反り、割れを
誘発させてしまった例を何件か確認しています。

 
湿気を防止する装置ですので
梅雨時や夏場にすぐに導入したいという
お気持ちは分かるのですが
既に春以降の湿気(水分)を
吸ってしまっている状態のピアノに
いきなりの除湿は、むしろトラブルを招く危険もあります。

 
そのようなトラブルを避けるための
慎重な導入の仕方として
私の場合に限っては
1月から2月あたりのもっとも乾燥した時期に
電源を入れてもらうようにしています。
1月、2月は、もっとも乾燥している時期で
春 → 梅雨 → 夏 → 秋 → 冬と経過して
この時もっともピアノから水分が抜けています。
このタイミングで電源をいれます。
この時はまだ乾燥しているので
ダンプチェイサーは作動しませんが
「3月中旬以降、じわじわと湿度が上がってきますが
これ以降は吸わせない」という導入方法により
ピアノがビックリせずにすむので安心、安全です。
ピアノという楽器はは思いのほかデリケートですので
慎重過ぎるくらい慎重でいいとおもいます。
初回導入の時期だけご注意頂ければ
その後は、自動的に管理されますので
手間が掛かりません。

 
時々、ダンプチェイサーを取付けたら
「とんでもなく調律(チューニング)が狂ってしまった」
と仰る方がおられますが
上記のタイミング以外で導入された可能性アリです。

 
ベストなタイミングで導入した場合でも
それぞれの環境やこれまでの経緯によって
導入後、半年から1年くらいは
調律が狂いやすい場合がありますが
導入後1、2回程、調律した後くらいからは
次第に調律も安定し、音色とタッチは軽快になります。

 
3. は、2. とも関係してきますが
お客様が自分で購入して取付けた
ダンプチェイサーを拝見していると
正しい(もっとも効果が出る)位置に取付けていなかったり
適切でないタイミングで導入した為に
逆にピアノを痛めてしまっているケースがあるのです。
よって、安全に効果的にお使い頂けるよう
製品のみの販売をせずに、取付とセットで
お引き受けするようにしている次第です。

 
正しく導入し、正しく取り付ければ
ダンプチェイサーは、多湿な日本での
ピアノライフを強力にサポートしてくれます。

 
ダンプチェイサーについては以下のページもどうぞ↓
http://www.piano-tokyo.jp/dampp-chaser.html

 

 
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